ナルト・カカシ誕生日

□2015.ナルト誕生日
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「え、ナルトっ?」

どこへ行くくのかと九喇嘛に聞いている時だった。
急にそう声を掛けられる。

「あ、サクラちゃん」
「あんた、どうしたの、その恰好。何かあった? あ、誕生日だからめかし込んでるとか?」
「はは、これは……」
「それに、ちょっと」

サクラに腕を引かれ、九喇嘛と距離をとらせられる。

「誰、あのイケメン」
「あー……」

こそこそと耳打ちされる。
道中、九喇嘛は、自分の正体を明かすなとナルトへ言いつけた。

『面倒臭ぇだろうが』

確かに、ただ「九喇嘛だ」と伝えるには、幾らかの補足が必要になる。
その工程自体は短く、それが億劫だとはナルトは思わなかったが、九喇嘛はバカにしたように目を細めた。

『お前、外出したら平均何人と会う?』
『あ……』

少ない人数では無い。
その一人一人に説明をしていては、すぐに夕方が来てしまうだろう。

『それに、いつでも俺がこの姿で表に出て来れると勘違いされても困るしな』

サクラはチラチラと九喇嘛へと視線を送っている。

「知り合いだってばよ」
「見た事無いけど」
「あー……、エロ仙人との修行中に会ったんだ」
「ああ! アンタの誕生日だから来てんのね?」
「まあ、そんなとこ」

勝手に納得してくれるサクラに、ナルトは内心吐息する。

(結局、説明するにしても誤魔化すにしても、面倒なだけじゃねえかってばよ)

それよりはいっそ「九喇嘛だ」と説明した方が早かった気もするが。
考えていると、不意に肩を掴まれ、九喇嘛の方へと引き寄せられた。

「悪いな、サクラ。夕刻までナルトは借りるぞ」
「え、何で私の名前……」
「先刻ナルトがお前の名を呼んだ」
「あ、そっか」

サクラが少しだけ不服そうな顔をしているのは、九喇嘛のやや横柄な態度にか。

「それじゃ、また夕方にね。そっちの人も」
「ああ、後でってばよ、サクラちゃん」

見送っていると、不意に九喇嘛の顔が目の前に現れ、ナルトは声を上げた。

「さて、行くか」
「あのな、急に出てくんなってばよ」
「どこに行こうと言っていたか」
「いや、まだ、決まってなかったけど……」
「くく」

楽しそうに九喇嘛は喉を鳴らすと、更にナルトへと顔を寄せる。
吐息のかかる距離だ。

「では、楽しい事をしよう」
「なっ」

囁く様に低い声で言われ、ナルトは身をのけぞらせる。
しかしそれは、すぐに九喇嘛に制止され、肩を掴まれた。

「お前なっ、ただでさえエロいんだから、そんな事急に言うの――」
「ほう、それは褒め言葉か?」

ニヤニヤと九喇嘛が笑う。
その姿に、ナルトは首を振って九喇嘛の腕を脱した。

「どうやったらそんなにポジティブにとれるんだ」
「何だ、どんな「楽しい事」を想像したんだ?」
「〜〜〜っっ」

歩き出そうとした腕を掴まれ、振り返れば、遠巻きに人が集まりだしている。

「もう、いいから、ちょっとここ離れるってばよ。来いってば」
「はいはい」

声を押し殺して笑っている九喇嘛にチョップのひとつもお見舞いしてやりたかったが、取りあえずは人気のない場所へと九喇嘛を連れ込む。

「お前、目立ちすぎるって」
「お前に言われたくはねぇな」

人々――特に女性が、九喇嘛を見ては振り返る。
足を止め、九喇嘛に見入る姿は、まあ、仕方が無いにしても。

「もう帰るってばよ。大人しく家に――」
「――もう少し、付き合え」
「飯食いに行くとかにしても、お前どうせ食わねぇだろ?」
「せっかくこの姿なんだ。もう少し遊ばせろ」
「あ〜……」

確かに、九喇嘛にとってみれば、初めての体験だ。
勿論それは、ナルトにとってもだが。

「カカシとのデートの為に、練習台になってやろうか」
「……お前が自分の身を犠牲にするはずがないってばよ」

絶対に何か企んでいる。
そう言外に伝えれば、九喇嘛は楽しそうに喉を鳴らした。

「――初めて、だろう?」
「ちょっ……お前」

ゆったりと、九喇嘛はナルトを壁際に寄せると、ナルトのすぐ頭の横へと手をついた。

「何だよ、お前だってそういう経験無いだろ?」
「ほぅ、無いと思うか?」
「う……」

艶やかな色気たっぷりで見下ろされ、ナルトは言葉に詰まる。
そんなはずはない。
ずっと自分の中に居たのだから。
分かっているのに、そうではないかと思ってしまう。

「手ほどきしてやろう」
「もう、いいから家に帰るってばよ」
「くくっ、家で続きか。初めてならばそれも良かろう」
「何だよもう、お前さっきからやけに――」

九喇嘛がやけにくっついてくる、と、ナルトが顔を上げた時だった。

「――ナルト?」

いつのまにそこに居たのか。
先程話題に上がった人物が、まさにそこに――目の前に立っている。

「あ……」
「くくっ」

楽しそうに、九喇嘛が笑う。











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2015.10.26.
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