頂き物・リクエスト2

□キモチノカケラ
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夜の町は、昼間とは全く違っていて。

サイと手を繋いで歩いた。

「女が一人でこんな時間に歩いてたら危ないでしょ」

そう言って。
サイはオレの手を握った。
サイの手は冷たいと思っていたのに。
温かくて。
ちゃんと、柔らかくて。

「ちゃんと、彼氏、してよ?」
「彼氏?」

サイが笑う。
オレも、何となく笑っていて。
来て良かったって、ちょっと思っていたりして。
でも、その反面、またサイを怒らせたらって……。

(あれ……?)

何でサイってば、怒ったんだっけ?
オレってば、何で……。

「……ルト、ナルト!」
「あっ? 何だってば?」

顔を上げるとサイがオレを見ていた。

「何か食べようかって聞いたんだけど」
「あ……何でもいいってばよ?」
「そう」

サイはまた、目を細める。

「……じゃ、あの店にしようか」

サイは、目の前の店を指差した。
居酒屋、みたいだけど、食事だけでもどうぞと書いてある。

「いいってばよ」

二人で店へと入る。



――その時何も感じていなかった自分が。



情けない。

不思議で、ならない。

どうして、オレは……。



「あ……」

サイが、小さく声を上げた。
サイの視線の先。

「っ……」

オレは、はっとする。
しっかりと、交わされた視線。



――まさか、て、思った。



どうして、なんて。

考える頭なんて無くて。



ただ、時が。

止まる。



「……カカ……せんせ……」



咽が、からからで。

(……女の、ひと……)

先生の、隣。
女の人が。
くっついていて。

じっと、オレを見ていた。
何処かで見た事あるような人。

懐かしい、感じの。
優しそうな、女の人。

その隣で。
カカシ先生が、オレを見ている。
じっと、驚いたように。

その視線が、ちらりとサイへも移って。

カカシ先生は、不愉快そうに顔しかめる。

「……カカシ?」
「!!」

女の人が、言った。
カカシ先生が、はっとしたように女の人を見る。

――先生、オレって気付いた……?

耐えられない視線。
先生は、何か思っただろうか。

「ナルト?!」

サイが、オレを呼んだけれど。

オレは店を飛び出した。









――――
2008.2.9.
*お返事、コメント等は明日以降で。すみません。
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