牡丹
□優しい声T
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♯2
「どうしようかな、オレ、アカデミーでも行くかな。イルカ先生居るってばよ」
カカシ先生が居なくなって。
オレはつまんなくてサクラちゃんを誘う。
サクラちゃんはちょっと考えて、首をかしげた。
「まだ授業中じゃない?」
「だったらラーメンでも食いに行く?」
朝早かったせいもあって、昼も早かった。そろそろ小腹が空いてくる頃だ。
言うと、サクラちゃんが嬉しそうににっこり笑った。
思わずどきりとしてしまう。
――けれど。
「あら、ありがとう!ナルトってばリッチね♪」
「……あ、オレの奢りなワケね……」
サクラちゃんとは、恋愛の対象として意識をしなくなってからはすごく自然に付き合えるようになったと思う。
カカシ先生とも、もう少し仲良くなりたいなって思うけど……。
(……多分、意識しすぎるから、失敗するんだってばよ……)
「なぁに、ナルト。文句あるわけ?」
サクラちゃんを見ながら、そんなことを考えていると、サクラちゃんが怖い顔をしてオレを見た。
「無いです……」
肩を竦めた後に、また目が合って、二人で笑った。
――胸騒ぎ。
オレ達忍者って、そういうもんが普通の人に比べて敏感になるって、前にイルカ先生が言っていた。
夜眠れなかったのは、久し振りにサクラちゃんと二人で行った一楽のラーメンが美味かったせいだと、思っていた。
いつもより早く目が覚めたのも。
きっと何か良いことがあるからだって、そう、自分に言い聞かせて家を出たんだ。
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2006.10.6