牡丹

□優しい声T
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♯3







次の日、任務の集合時間になってもカカシ先生は来なかった。
昨日の任務が長引いたんだろうか。

「やっぱり寝坊だってばよ」

どうせ遅刻してるんだって、サクラちゃんと笑いながら話していたけれど。

「……それにしても、遅いわよね」

最長で5時間待たされたことがあるから、まだ早い方なのかもしれないけど。

何でか。

途中からサクラちゃんも言葉が少なくなっていって。
やがて、笑顔が無くなって。

「……先生、大丈夫かな……」

思わず呟いた言葉に、サクラちゃんも顔を上げてオレを見た。

「……何か、さ、嫌な予感しない?」

「バカナルト!変なこと言わないでよ」

そういうサクラちゃんの表情も心なしか暗い。

「実はさ、オレ、昨日あんまり寝れなかったんだ」

「……え、あんたも?」

「え……」

思わず言葉を失って、サクラちゃんを見つめる。



――その時だった。



「待たせたな」

不意に、目の前に砂煙が起こった。



「……で、何でだってばよ?」

「ん?」

オレ達は、目の前で煙草をふかす上忍を見上げた。

「何で、アスマ先生が来るんですか?」

サクラちゃんも不機嫌な声を出す。

「オレが来ちゃいけねぇのかよ」

「カカシ先生はどうしたんだって言ってんだってばよ!」

嫌な予感がどんどん大きくなる。

「あ〜、休みだ」

「「はぁ?」」

けれど、アスマ先生は煙草をもみ消すと、何事もないかのように任務の内容を話し始めた。
まるで、そんなこと、大した事ではないと言うように。

「……とまあ、直ぐに終わるな。俺もこの後任務入ってるからちゃきちゃきやれよ」

「……そんな事……」

けれど。
そんなの納得できない。

「オレ、カカシ先生のとこ行って来る!」

「あ、ナルト!」

「おいっ、うずまき!」



だって。



胸騒ぎが。



おさまらなくて。



「待ちなさいよ、ナルト!」

後ろから追っかけてきたサクラちゃんの声があっという間に聞こえなくなる。

「……いや、ホントに休みなんだって……」

そう呟くアスマ先生の声も、オレには聞こえていなかった。











――――
2006.10.7
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