牡丹

□優しい声T
6ページ/23ページ



♯4






「……それで、任務をサボってきたのか」

綱手のばあちゃんの前で。
オレはしゅんと肩を落とした。

「……だってさ、何か、嫌な予感したんだってばよ」

「……はぁ」

綱手のばあちゃんは、腕組みをしてオレを睨みつけるようにして見ている。

「アスマ先生が来るなんて、向こうの班も大変だってばよ!それに……」

「シカマルが居る。それに……」

今日オレ達がする予定だった任務の紙を見ながら、綱手のばあちゃんは大きく溜息をつく。

「今からでも間に合うから任務に戻れ。ほら、二人も来たし」

「ナルト!何してんのよ!」

ばあちゃんが指差すと同時に、扉が開いて、サクラちゃんとアスマ先生が入ってきた。

「すみません、綱手様」

アスマ先生が頭を下げる。
ついでに、オレの頭もサクラちゃんから押さえつけられた。
だって。
オレってば、てっきりカカシ先生ってば、何かあったんだとばかり……。

「本当に、カカシ先生は大丈夫なんだってば?」

もう一度確認すると、ばあちゃんは頷いた。

「あと数時間も横になっていたら治る」

「俺もお前達の処へ来る前に見てきたが、別に怪我も無かったぞ。眠ってはいるが、大丈夫だった。何せ、あのカカシがそう簡単にダウンするかよ。……体力は無いが、すぐに回復するさ」

アスマ先生も、呆れたようにオレを見ていて。
カカシ先生、きっと写輪眼使ったんだってば。だから……。

「ほら、さっさと戻る!」

「う、分ったってばよ……」

追い立てられるようにして、ばあちゃんの部屋を出て行った。
けれど。

「あ、ナルト」

ふと、ばあちゃんがオレを呼んで。

「任務が終わったらここへ来い。カカシも来るはずだから」

「え……」

ばあちゃんってば、オレがカカシ先生のこと好きなの、知らないよな?
オレが飛んできたから、早く任務に戻そうとしてそう言ったんだよな?
サクラちゃんが、にやにや笑ってオレをつついた。
けれど。

「さ、分ったら、行った、行った!」

その時のばあちゃんの顔が。

「絶対、大丈夫だってばっ?」

ちょっとだけ曇ってるみたいに見えて。

「ちゃんと会わせると言っているじゃないか」

オレはやっぱり任務中も、ずっと不安を消すことが出来なかったんだってば。











――――
2006.10.8
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ