□衝動(1/31〜完結)
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『二度と、オレの前に現れるなってばよ』



後悔なんて知らない。

何故、こんな事になったのかなんて。



考える事なんて、もう疾うの昔に放棄していたのかもしれない。



『……先生、元気で』

そうナルトが告げたのは一年前。

ナルトが自来也様と再び旅に出たのはその直後だ。

今度の旅は、いつ帰るか分からない。



もう、自分に関わらないで欲しいと言われた。

『二度と、オレの前に現れるなってばよ』

視線を逸らして。

そこまでの言葉をあの優しい子供に言わせるなんて。

自分がどれだけ最低であるか、自覚しすぎて。



もう、何も。

哀しくも、苦しくも。

心が麻痺してしまったかのように。



何も、感じない。



『……いや、オレが、居なくなるから……先生は、そのままでいいってばよ……』



その暗く鈍い眼差しが、未だに俺を責めて寝かさない。



『……先生、元気で』



静かに呟かれた言葉は、涙に震えていた。



****




それから一年。

風の噂で2人が帰ってくると聞いたのは、幻であったか。



――身体が、震えた。



その時俺を包んだ感情は、喜びだったのか、恐怖だったのか。



『二度と、オレの前に現れるなってばよ』



そんな言葉を吐かれて。



それでも。







姿を見たい欲求は抑えられなかった。











――――
2007.1.31.
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