藍
□衝動(1/31〜完結)
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「ナルトのお帰りなさい会しよう、先生!」
サクラが上忍待機所へと駆け込んで来て、アスマと紅とガイが同時に顔を上げた。
「あ、皆さんもいらっしゃったんですね。カカシ先生、ナルトが帰って来ました!今さっき!自来也様も!」
「……そう」
――ざわりと、背中に電気が走る。
「……良かった、ね」
辛うじて搾り出した声は、ひどく掠れていた。
しかし表情はマスクの陰に隠れ、俺は無事に、サクラの言葉に応える事に成功した様だった。
「もう、カカシ先生ってば。嬉しいのねっ!照れちゃって!!」
「ちょ……やめなさいって。もう」
サクラが俺の脇をつついてきて、俺はただサクラの頭を撫でる事しか出来なかった。
そんな様子に、紅もガイも笑っている。
――ただ、アスマだけがじっと俺を見ている事に俺は気付いていた。
しかし問いかけに答えてやる気なんて更々無い。
俺は視線を外す事で、それを無視した。
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サクラに指定されたのは翌日の午後からだった。
紅とアスマとガイの班のメンバーが来るらしい。
『二度と、オレの前に現れるなってばよ』
そんな言葉を吐いた彼が。
其の場に俺の姿を見つけたら、何と言うだろう。
何と、感じるだろう。
――あの日と同じ、怯えた目で、恐怖を浮かべるだろうか。
『や……っ、やめ……っ!』
耳に残る、ナルトの悲鳴。
恐怖に怯えた眼差し。
『何で……先生……』
裏切られた哀しみと屈辱が、その瞳に渦巻いていた。
「……今更……」
どんな顔をして会えるだろう。
どんな言葉をかけられるだろう。
――あの日。
あの、月のキレイな夜に。
俺は永遠に清廉なる少年を失った。
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2007.2.1.