頂き物・リクエスト2

□あなたへと続く詩
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≪星は消え尽きようとも、離れぬ心。
あなたを護り、星は喜び輝く。

あなたの傍を、離れない。
あなたの傍に、きっと居るから。
どうか悲しまないで。

星は消え尽きようとも、離れぬ心。
あなたを護り、星は再び輝く。≫




この後悔が全て消えてくれると言うのなら。
この命さえ要らないのに。



****




「……ナルトの具合は……」
「カカシ……」

報告書を出し終えた俺は、綱手様へと声をかけた。
病室――といっても、帆影執務室のすぐ隣の特別室ではあったのだが。

「今もまだ寝ている。明日の朝には目を……きっと……。お前ももう休め」
「……っ」
「――そんな顔をするな。お前ばかりが悪い訳ではない。ランクを見誤っていた私に責任がある」
「いいえ、護れなかった、俺が……」
「……」

長い、沈黙が流れた。



任された護衛任務は、依頼内容に確かに間違いは無かったのだ。
しかし、振り返ってみれば、2つほどランクが上がっていてもおかしくはない内容のものだった。

低ランク。
護衛人数は依頼者のみの一人。
敵が出るかどうかも分からない。
ただ、隣町まで行くのに心許無いから、という理由だった。
経路もそう長くはなく、余程ゆっくりと歩いても、2日もあれば充分の距離だった。
『息抜きにどうだ?』と言われ。
俺とナルト、サクラ、それで充分かと思われた。



――しかし。

蓋を開けてみれば。



護衛すべきは、依頼者というよりも、依頼者が大切に抱えていた物で。
それを狙ってきた敵はたった2人ではあったのだが……。

抱えられていたのは、結界術の巻物だった。
それも、強力な。

敵に襲われパニックになった依頼者は、俺達をも巻き込んで巻物を解いた。
開くだけで発動するようにしてあったらしい。
しかも、発動した瞬間に、雷切のような術が辺りへと広がって。

最も依頼者の近くにいたナルトは、結界から弾き飛ばされるように、依頼者を庇う形でそのまま倒れた。

敵のうち一人はそれを予測していなかったのか、同じように倒れ、確認した時にはもう既に息絶えていた。

少し離れていた俺は、サクラを庇ってぎりぎりの結界を張るのが精一杯で。

残りの敵は逃げた。



依頼者は、放心状態で、元の場所へと送り届けた。
報酬でもめるかと思ったが、依頼者より謝罪があり、予定額の倍の値が支払われた。

――ならば何故、最初からランクを上げて依頼しなかったのか。

逃げた一人は、絶妙のタイミングで結界を張ったようには見えたが……。



何であろうか。
何かがひっかかるのだ――。



幸い、ナルトは息も絶え絶えではあったが、とりあえずは助かった。
サクラの応急処置の後、忍犬で応援を呼び、先に里へと戻したのだ。



眠るナルト。
もう、回復しても良い頃だった。
今回は九尾に助けられたと言ってもいい。
ナルトならば。
この、状態ならばすぐにも目覚めるはずだ――と、綱手様は言うが……。






――もう、3日が経過している。







――――
2008.5.1.
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