頂き物・リクエスト2
□あなたへと続く詩
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朝食が運ばれてきて、やっと、朝だと気がついた。
いつの間にかナルトの脇で眠ってしまっていたのだろう。
顔を上げると、眠るナルトの横顔が見えた。
一人分を受取り、テーブルへと置く。
それから間もなく綱手様が入って来た。
「ちゃんと寝たか?」
「……はい、ありがとうございます」
「……」
答えたものの、綱手様は俺の顔を見ると微かに顔をしかめる。
しかし、それ以上は何も言わなかった。
「ナルト、朝だ。起きろ」
綱手様が声をかける。
しかし、一向にナルトが目を覚ます気配は無かった。
「……すまないな……」
呟いて、綱手様はナルトへと処置をしていく。
綱手様もまた、責任を感じているのだろう。
(――俺が、気付かなかったばかりに……)
しかし、敵が二人。
しかも、手練れと言えども、サシで二人と勝負しても負けたとは思えない。
自惚れる訳では無いが、二人は大した事は無かった。
チャクラの質、クナイの刺さり方等、依頼人を抱えながらでも守れたと思うのに。
(……何故……)
何かを見落としている。
この、腑に落ちない感じはどこから来ているのだろう。
「では、後を頼むぞ。お前も食事をしろ」
言い残して、綱手様は出ていった。
「……食事……」
とても食べる気になどなれないが。
「お前と一緒なら、何だって食べるけどね……」
カップラーメンばかりと聞いて、節介に通ったのは、部下だという理由だけではない。
『あっ、先生、来てくれたんだってば?!』
にこにこと、嬉しそうに飛び付いてくる身体を受け止めながら、伸びた身長に目を細めた。
ナルトと向かい合う時、自分とも向かい合う機会となる。
――いや、そんなたいそうなものでは無いかもしれないが。
女性との関係が無かった訳ではない。
しかし――……。
――いや、彼女達とナルトを比べても仕方はない。
「……お前はお前で……。……この、想いも……」
お前だからこそ。
こんなにも誰かを想った事など無い。
皆が徐々にお前に惹かれていく中、俺も例外ではなく――……。
「ナルト……」
口に乗せれば安心していた言葉が。
今はこんなにも不安で心を掻き乱す。
「……ナルト……」
もし、時が戻るというのなら。
俺はその為に何だってするだろう。
あの失態を、無かった事に出来るならば。
だから、目を……。
(……失態……?)
――果たして、失態、なのか……?
→
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2008.5.17.