頂き物・リクエスト2

□Toujours avec toi.
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「……」

カカシ先生を前にして、ばあちゃんは一瞬息を飲んだが、すぐに険しい表情へとなった。
それからオレへとちらりと視線を送って、今度は溜め息をついた。

「――カカシ、お前……」
「……ま、そういう事です。報告が遅れましてすみません」

苦笑しながら頭をかくカカシ先生に、綱手のばあちゃんは更に大きな息を吐いた。

「お前らしいというか……まあ、知ってはいたが……そこまでとは……」
「……すみません。しかし、これだけは変わりませんから」

どこか幸せそうに、穏やかにそう言うカカシ先生は、いつものカカシ先生と同じように見えたけれど。

カカシ先生を見ると、カカシ先生は優しく目を細めた。

「――大丈夫だよ」
「え……?」

何、言ってるんだってば?
今大変なのはカカシ先生なのに。
今の言葉はまるで、オレに向かって言われたみたいにも聞こえた。

ばあちゃんは、そのカカシ先生の言葉に、表情を元の硬いものへと戻す。

「本当にそうだと良いがな……。……お前の今の状態を見ると、期限はもって三日と言うところか」
「……みたいですね」
「……?」

期限……?
……って、何、だってば……?

「それまでに解決策を見つければいい、それだけの事です」
「……お前……」
「という訳で、もう一度出てきても宜しいですか?」
「――正気か?」

綱手様にそう返されて、カカシ先生は一瞬口を噤んだ。

珍しい。
いつも、根拠と自信の元に行動し、言葉を表現する先生が。
詰まったように、言葉を飲むなんて。

「……解っているならば何故……」

呟いて。
ばあちゃんは言葉を途中で切ると、大きく息を吐いた。

「――いや、愚問だったな。忘れてくれ」
「すみません」
「しかし、出ていく事は許可出来ない。」
「……」
「その危険をお前ほどの者が理解出来ていないとは思えないが……」
「……承知の上です。元より……いえ、昨夜の段階でもう決めていました」
「……」

今度は、ばあちゃんが口を噤んだ。

「――何人かつけよう。それならば、許可、しても……」
「――いえ、1人で……」

何の事かわからない。
分からないけれど。

でも。

何か、とんでもないことになってるって。
ばあちゃんと、カカシ先生の様子、その、空気で。

心臓が、速くなる。
すごく、嫌な感じがする。

「なっ、ちょっと待つってばよっ!! 先生、また、1人で出ていくんだってば?!」

よく、意味は分からない。

けれど。

カカシ先生ってば、オレの方を見て、優しく目を細めた。



そして。



ばあちゃんの前、なのに――。



「なっ……」



カカシ先生は、少しだけ首を動かすと、オレの唇へと。






――キス、した。










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2008.7.13.
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