頂き物・リクエスト2
□Toujours avec toi.
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カカシ先生の部屋へと戻る途中、誰かに会う確率は高くなる。
だから、比較的人通りは少ない道を選べるオレの部屋へと戻って。
カカシ先生は、忍具の確認をしている。
いつもより念入りに。
いつも使っているものと。
それから、小さめのものと。
それの意味する意味はよく解らない。
何で、小さめのものまで持っていくのか。
けれども。
どうしてこんなに不安になるんだってば?
それに。
動きやすいからって、伸縮力の強い暗部の服を着て。
――まるで、いつものカカシ先生とは違って見える。
昔、カカシ先生は暗部だったって誰かが言っていたけれど。
その時代に着ていた服だろうか。
――それが、却ってオレの不安を煽って。
「……三日で……いや、二日で戻るから。心配しないで待ってていい」
準備をしながら、カカシ先生は笑っている。
けれど。
オレは急に心臓が早くなって行くのを感じた。
――三日。
三日が限度だって。
よく、意味は分からないけれど。
三日が過ぎたらどうなるんだってば?
先生は……。
「……せ、先生……」
先生を見ると、先生は優しく眼を細めた。
「大丈夫だって。何を心配してるの」
すごく、優しい声だった。
「忍び引退する年になったって、ナルトの傍に居るって言ったでしょ?」
オレを、安心させようとしているんだと思う。
優しい声。
優しい表情。
けれども。
オレ、気がついてしまったってば。
そう言って笑う先生の目の高さ。
(――何で……オレとあんまり変わらないんだってば……?)
身長が。
オレに追いつこうとしている。
『……そのうち嫌でも信じるよ』
先生の言葉を思い出す。
『――ま、取り敢えず期限があるみたいだし、綱手様の所に行くか。報告もまだだしね』
期限。
……って、まさか……。
「……せ、先生、三日って……」
不安を含んだオレの言葉に、カカシ先生は一瞬だけ手の動きを止めた。
けれども、直ぐに元の作業を始める。
「……大丈夫。それまでには元に戻って、お前の元へと還って来るから」
言いながら、カカシ先生は立ち上がった。
「だっ、駄目だってばよっ!!」
そんな事。
1人でなんて。
「お、オレも行くっ……!!」
立ち上がったカカシ先生の腕を取るように、オレはカカシ先生へと詰め寄った。
「……あ……」
先生と、目が合う。
――先生、里の人達にかっこいいってよく言われているけれど。
女の人にすごくもてるけれど。
「……大丈夫。心配なんてしなくていい。」
優しくオレを見つめるカカシ先生のその姿はまるで、上等の白く滑らかな陶磁で精巧に造られた人形のようにキレイで。
先生が、荷物を下ろす。
「……愛しているよ」
オレはじっとその顔を見つめ続けていた。
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2008.7.14.