頂き物・リクエスト2

□Stay hugged.
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「……また、あいつは……」

目の前の答案用紙を指で弾いて、数学教師であるはたけカカシは、大袈裟に溜め息をついた。
答案用紙には、不揃いの文字でうずまきナルトと書いてある。
その隣には、辛うじての30という数字。
しかし、完全な欠点である。
もう一度漏れた溜め息を隠すように視線を窓の外へと向けると、グランドでは陸上部が練習をしていた。

「……この暑い最中にご苦労だね」

呟かれた言葉は、この答案の持ち主とは正反対の成績の相手へと向けられる。

「……でも、ま、全部満点ってのも気味悪いけどねぇ……」

苦笑しながら、カカシは部屋のエアコンを切った。

「さて、どうしたものかね……」



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「おい、ナルト、帰ろうぜ」

突然教室の扉が開き、ぼんやりとグランドを眺めていたナルトは、驚いたように肩を揺らしてそちらへと顔を向けた。

「あ、シカマル、もう生徒会の仕事済んだんだってば?」

取り繕うように笑うナルトに、シカマルは一瞬目を泳がせる。
声をかけるタイミングを図っていたシカマルからしてみれば、そんなとってつけた笑顔など鬱陶しいだけではあったが。


「あ〜、後は他の奴らがやるし。つか、追い出されたっつか」
「サクラちゃんとか?」

ナルトが笑うと、シカマルも肩を竦めて苦笑した。

「あんなに恐ろしい会計居ねぇよ」
「あはは。生徒会長としては頼りになるんじゃないってば?」
「審査会より日々の仕事の方がよっぽど怖い。笑いながら、まだ開けてもない缶ジュース握りつぶすんだぞ。まだストレートに文句言われた方がましだっての」

大袈裟に肩を竦めてみせるシカマルに、ナルトは声を上げて笑っている。
目を細めてその様子を見ながら、シカマルは窓際の机へと、荷物を取りに行った。

――グランドが気になってしまうのは仕方があるまい。

グランドでは、陸上部が練習をしている。
夏の大会への最終調整のようだ。
そう長い時間は練習しないだろう。
だとすれば、シカマルは、この教室から早くナルトを連れ出す必要があった。

「さ、帰るか」
「チョージは?」
「家の手伝いだと。先に帰った」
「夏も焼き肉屋って儲かるんだってば?」
「さぁ? 今日からスタミナフェアーとか言ってたぜ」
「行ってみるってば?」
「いや、いい。おばちゃんに見つかったらまた、無料奉仕させられる」
「でもまた焼き肉食べられるかもしれないってばよ?」
「パスパス!! ただでさえ暑いのに」
「う〜ん、そうだってばねぇ」

自分の荷物を取ると、ナルトは先に教室を出ていく。

「……っとに、こんなに暑いってのに……」

小さく呟いたのは、シカマル。
その視線は、静かながらも、再度、グランドの少年へと注がれていた。




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2008.8.16.
*カカシ先生、化学とかでも面白そうだったのですが…。イメージとしてはどうなんでしょう?
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