頂き物・リクエスト2

□Stay hugged.
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「あ〜あ、またばあちゃんに怒られたってばよ」

席に着くなり、ナルトは頬杖をついて斜めにカカシを見上げた。
それは以前からのナルトの癖であり、カカシは懐かしく目を細める。

授業中は、ナルトはそのような態度は見せない。
彼なりに、世話になっている綱手に早く恩を返す為、少しでも時間を無駄にしたくないという気迫が授業中は漂っている。

しかし、その意気込みと成績が比例してくれれば良いのだが……。

「お前がこんな点数取るからでしょ」
「だって難しかったってばよ?」
「じゃあお前の問題用紙だけ違っていたんだろうね。満点も居た問題だよ。しかも半数も」
「じゃ、ホントに違ったんだってばよ!!」
「あのね〜……」

カカシは苦笑する。
真剣であるからこそ、どうにかしてやりたいとも思うが……。

「このNが整数の値、これは何度も説明したね。この問題の条件の場合、全体の中で頭から2人組がつくられていくわけだから、偶数で増加していく。全体の数はZとして条件付けてある。するとこのペア、つまり偶数での増加をこの式に代入していくわけだから……」
「……先生」
「何?」
「……ちゃんとした言葉、話してってばよ」
「……」

上目遣いでちらりと視線をあげたナルトに、カカシは軽く溜め息を漏らした。

カカシの教えるクラスの出来が、ナルトに比べてずば抜けているわけではない。
カカシの授業で欠伸が見られたとしても、眠る子は居ない。
多少理解に時間が掛かっても、理解できない子は居ない。
そういう教え方を得意としていたカカシだ。

ナルトの受験の時の出来事もある。
カカシにしてみれば、何故今になって、ナルトが数学という教科に苦手意識を持ち出したのか。
優秀とはいかないものの、あの頃は、全般的に飲み込みは良かった。




――では、何故、今急に……?






父兄参観日に、ナルトは自来也が来るのを嫌がった。
まだ小学生低学年だった。
毎年、両親の来ない子供。
そう言われているのがいたたまれないのだが、と、綱手は言っていた。
じゃあ自分が行くよと、そうナルトに告げに来たのはいつであったか。
突然の見知らぬ少年の訪問に、ナルトは驚いていたが、何故か知っているような気がすると笑った。

幼い頃はわんぱくで、成績は下位。
何処にでも居る少年だった。

十以上も離れている。
もしカカシに弟が居れば、こんな感じだったかと思う。






――それが、あの日に変わった。








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2008.9.2.
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