頂き物・リクエスト2
□だって仕方が無いじゃない
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「……何だ。そうならそうと早く言ってよ」
「……だって……」
すっかり伸びきったカップラーメンを目の前に、ナルトは頬を染めて俯いていた。
「……付き合ってるんでしょ? 恋人なら、そんなの聞いたってちっとも変じゃ無いよ」
優しい声になるのは、理由を聞いて安心したからである。
ナルトは、深く項垂れていた。
「うん。ゴメンってば」
素直に謝るナルトに、もう許しているけどね、とカカシは目を細める。
寧ろ嬉しいくらいであった。
(しかし……自来也様も余計な……)
『オレ、キスもしたこと無いんだってばよ!!』
『は……?』
帰ろうとしたカカシを、ナルトが焦ったように止めた。
突然のその言葉に、カカシが唖然としたのは言うまでもない。
眉をひそめるカカシの前で、ついにナルトはぽろぽろと涙をこぼし始めた。
『工口仙人に聞いたんだってば!! カカシ先生はすっげー慣れてるはずだから、生半可な事じゃ飽きられるって!』
『……っ、……何それっ!! 慣れてるわけないでしょ、お前が初めてなのに!』
それまでの我慢など忘れ、思わず大声を上げてしまったカカシであった。
ようやっと落ち着いたナルトがぽつぽつと喋り始めた事と言えば、ただカカシに嫌われたくなかったということだけで。
「……オレ、先生にソッコーでがっかりされるのは嫌だったから……」
2人きりになる事を恐れ、わざわざ嘘までついて逃げ回っていたというわけである。
拍子抜けしたカカシであった。
「そんな事でがっかりなんてするわけないでしょ。誰がこんなに必死になって好きって伝えたと思ってるの……」
「……え、……うん。……へへ」
照れたように笑ったナルトは、やはり可愛い。
並んで座ったベッドの上、肩を抱き寄せると、幸せそうな笑みを浮かべてナルトはカカシの肩へと頭を預けて来た。
――しかし、ということは、意識しているということでもある。
(何だ、色々考えなくて良かったわけね)
肩を抱き寄せたまま、そっと顔を寄せると、ナルトは目を閉じた。
温かな唇に、口付ける。
「ん……」
微かに、ナルトが息を吐いた。
首の後ろを指先で撫でると、ナルトは目を細めてカカシを見上げる。
ナルトの胸へと手を当てると、鼓動は速く、そんなことを確かめないでと、ナルトが頬を染めた。
優しい笑みを浮かべて、カカシはそっとナルトの上着の下へと手を差し入れる。
驚く程に、滑らかな肌だった。
いや、実際に驚く。
「せ、先生。本当にね、オレ、こんなの初めてなんだってばよ。それに、オレってば、工口仙人の本も最初しか見てないから、多分先生、期待外れ……あ痛っ」
ナルトの言葉を遮ると、カカシはその頭を軽くこづいた。
「期待外れは無いでしょ、ナルト」
「だって……」
「触ってるだけで幸せなんだから、それ以上なんて要らないよ。……ほら」
カカシはナルトの手を取ると、自分の胸へと誘った。
「……あ、先生も速いってば」
ナルトは嬉しげにカカシの顔を見る。
「ね」
「うん。先生もドキドキしてるってば」
もう一度口付ければ、ナルトは甘えるように、カカシの首へと両手をまわしてきた。
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2008.10.24.