頂き物・リクエスト2
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きらきらと、カカシがナルトを思い返す時、それは眩しい程に零れる笑顔だった。
相手を思って、全身で感情を表す泣き顔だった。
それらのどれも純真で、真直ぐで、直視できないほどの輝きに満ちていた。
――嘘くさい。
あれだけの傷を、身体に、心に負いながら、あんなに澄んだ笑みをできるはずが無かった。
そんな芸当、大人でも難しい。
しかし、それを完全に隠しきっている。
完璧に演じ切って見せている。
カカシの前に見せるナルトの表情は、いつも楽しそうに、嬉しそうに、幸せそうに微笑んでいた。
(何を考えている)
言葉で、表情で、態度で偽りながら、その内面はどろどろと黒い負の感情で満たされているに違いないのに。
(どうしようもない子供の筈だ)
頑なにそう思い、信じようとした。
裏があると、性根の捻れたどうしようもない少年だと、メッキを剥がしてやろうと躍起になった。
(あの少年を暴いて、どうしたかった?)
わざと窮地に追い込んで、その度に、ギリギリの所で手助けして。
『カカシ先生が居てくれて良かったってばよ』
その言葉を、何度言わせただろう。
『せんせー、手、つないで』
窮地を救った後、照れたように、何度か袖を引かれた。
また、うまく立ち回ろうとしている、黒い部分を隠している、嘘を塗りたくっていると心で罵りながら、微笑みを彼にくれてやった。
(……お前が、俺を呼ぶから)
例え嘘だとしても。
幼い少年が生き抜く為に身に着けた狡い知恵だったのだとしても。
(この手を、離したくないと……)
だからこそ、許せなかった。
利用され、塗りたくられた虚偽の視線を、さも本物の様にカカシに向けて来るナルトが。
たまたまそこに居たカカシに、他の大人へと向ける同じ視線を送って来るナルトが。
(――いつ、……その嘘が剥がれるのかと……)
それが嘘だと種明かしされる瞬間を思い、更に憎しみが募った。
期待をするだけ、それが叶わなかった時の衝撃は大きい。
それは何度もカカシは味わって来た事で、何度も大きな喪失をこの身に受けて来た。
『カカシ先生っ』
ナルトの嘘が剥がれる時。
それは、ナルトの伸ばされるこの手が、カカシを必要としなくなる時だった。
『せんせー、手、つないで』
(何故、そんな顔が出来るんだ……)
→
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2015.1.16.