頂き物・リクエスト2

□650000打リク・その先に
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「あ、カカシ先生」

呼ばれたサクラの声に振り返ると、サクラとナルトが並んでいた。
夕暮れの柔らかいオレンジの光が、2人を照らしている。

「先生、今帰りだってば?」
「うん、お前達も?」
「私達は、今日はお休みで、甘味処に。イノが急に任務入っちゃって、ナルトに付き合って貰ってたんです」
「おかげで夕食入んないってばよ」
「あんたが食べ過ぎるからでしょ?」
「2人とも、いい休日だったみたいだね」

笑う2人に、自然とこちらも笑みが浮かぶ。

「そしたら、ね」

手を上げて2人に背を向ける。

「あ、先生、一緒に帰るってばよ」
「……」

背後で聞こえた声に、肩が揺れそうになるのをこらえた。

「うん」

振り返って微笑む。

「じゃ、私はここで。今日はありがとね、ナルト」
「おう、また明日」

サクラへとナルトは手を上げた。




2人きりを避けなければと思うが、露骨に否定するのは憚られた。
――そもそも、それは立場的にも仕事的にも無理ではあったのだが。

ナルトが嫌いでは無い。
むしろ好意的に感じている。



(――が、それでどうなる)



婚約を勧められるのは、子を作る為だ。
誰かと子供だけでも、と相談役から迫られた事もある。



(お前との間に子は成せない)



俺の子もであるが、ナルトとて里から熱望されている。
ナルトを受け入れられない、それが、1番の理由だ。

ナルトが遊ぶつもりで、冗談で迫ってきているのならまだ逃げ道がある。
しかし、ナルトの性格から、それは絶対に無いと言い切れる。
真剣に、俺に好意を伝えて来るだろう。
恋愛は出来るかもしれない。
しかし、それは里にとって望ましくない行為だ。
里の忍びとしては、受け入れられない。
受け入れられないと、分かっている――……。

「……でさ、先生」
「うん?」
「これから、うち、来ねぇってば?」
「え……」

足が止まった。
考え事をしていたせいか、不意の言葉に、いつものように流す事を忘れた。

「何か用事ある?」
「……」

用事があると、いつものように笑って断ればいい。

しかし、それが出来ないのは……。



(お前の目、が)



俺を見つめるその眼差しが、俺の言葉を奪っている。
拒否など期待していない、強い視線。
きっと、ここで否定しても、別の手で、ナルトは俺を誘うだろう。
俺が『応』と答えるまで、何度でも、何度でも――。



「……いいよ」



そこまで考えた俺は、いつものように微笑んだ。

「あ……」

俺の答えが意外だったのか、ナルトは驚いた表情を見せた。
期待しながら、拒否の言葉を受け止める準備をしていたのか。



(でも、拒否しても、一緒でしょ)



ナルトの粘り強い性格は、裏を返せばしつこいという事だ。



「俺は夕食食べたいけど、お前の所何かある? カップラーメンはご免だよ」
「あ、えと、じゃあ、何か買っていくってば?」

ナルトの瞳の奥に一気に広がっていく喜色に、気付かれない様にひとつ息を吐く。



――この、表情が、時々俺を落ち着かなくさせるのは、もう、分かりきっていた事だった。















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2015.2.1.
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