頂き物・リクエスト2

□650000打リク・その先に
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俺の唇を、ナルトの舌がなぞる。
そこをこじ開けようと、舐めたり、つついたり、吸ったりを繰り返す。



(……部屋に来た時点で、こうなる事は予測されていた事だ)



ナルトの期待の仕方、緊張の仕方を見れば、この様な下心があると、分かり易かった。
その状況の予測を、甘んじて受け入れた。



(お前は、それでいいのか?)



この先には何も無い。

俺と恋愛をしたからと言って、何も変わらない。



(俺を好きになっても、何もいい事なんて無いよ)



これまで、キスに応えた事は無かった。
口付けはいつも一瞬で、俺はそれを無かった事にして、流していた。

「……ふ……」

小さく口を開けば、すかさずナルトの舌が入り込んでくる。
俺の舌を探し、自分のそれを絡めて来る。
呼吸もままならないほどに、すぐにナルトのそれは激しいものへと変わった。
体重を預けてきたナルトを支えきれず、そのまま床へと転がる。

「んっ、は……ん……」

俺の上へとまたがったナルトは、尚も角度を変え、口づけてきた。

「……ん……っ」



(ダメだ、よ)



熱い口づけに、まともに応える事もないまま、ナルトを腕に抱いていた。
ナルトの熱い体温が、このまま、熱に浮かされてしまえと、俺を誘惑する。



(……一時の感情だ。……これは……)



「っ?」

不意に、腰に、ナルトの興奮が当たる。
自分でも分かったのか、はっとしたようにナルトは身を起こした。

「……は……ぁ……」

肩で息をしながら、ナルトは、見下ろすように俺を見つめた。
やや眉根を寄せ、泣き出しそうな目をしている。

胸のすく様な表情だった。
いつの間に、こんなにも切ない表情が出来るようになったのかと、俺を驚かせる。

――恋をする目。

それは、熱い情熱を秘め、俺の立ち位置を揺るがせようとしていた。
匂い立つような色気が、ナルトの蒼い目に宿り、やがてナルトの全身を包む。
呼吸さえ、艶っぽい。



(……このままでは……)



その髪へと手を伸ばし、撫でつけてやる。

「……そろそろ帰るよ」
「っ……」

ナルトの視線が揺れ、俺の腕を掴んだ。

「嫌だ」
「泊まる訳にはいかないでしょ。明日、早いんだよ」
「……もう少し」
「うん?」
「もう少し、ここに居て欲しい、てばよ」
「……」

時間はまだ20時を回ったところだ。
明日が早いとはいえ、まだ充分に時間はある。
しかし――。



(これ以上ここに居れば、続きを、する事になる)



今でさえ、危うい。
これ以上誘われれば、きっと俺は断れない。
これまでがそうだった様に。
誰かと寝る事なんて、特別な事だと感じる事が出来なかった。
その状態で、ナルトと関係を持ちたいとは思わない。



(お前を、傷つけたくない)



「先生……居て」



(傷つける……)



「もっと、ここに」



抱き着いてくるナルトの腕は熱かった。
そっとナルトの双眸へと視線を向ければ、熱を持って潤んだ眼が、俺を求めていて。



「俺の所に。――俺を、見て」
「……」



口付けをせがむように、顔が近付けられる。













――――
2015.2.7.
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