頂き物・リクエスト2

□650000打リク・その先に
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簡単に、歯列が割られた。
俺に、抵抗する気が全く無い所為でもあった。

過去の6回のキスに、応えた事は無かった。
俺に口付けるナルトの背に、そっと腕を回す。
支えるようにして、身体を起こした。
尚も深く口づけて来るナルトを、初めて抱き寄せる。

「ん……ぅ……っ……」

徐々に深く、キスに応えていく。



「な……んで……っ」

俺の身体を両手で押し、ナルトが首を振った。

「何で、好きでもないのに、こんなキス、出来るんだよ……!」
「……そうして、生きてきたからね」
「そんなの!」

涙を零しながら、ナルトは半笑いで俺を見る。

「俺が嫌いだって言われた方がマシだ……!」

絞り出すような、声だった。

「……もういっそ、嫌いだって、突き放して欲しい……」
「……」
「俺は、先生が好きで好きで、苦しい」

嫌い、と、誰かに告げた事は無い。
そもそも、そんな感情を誰かに抱いた事が無い。
どうしようもない人間だと思った相手でさえ、それだけの感情だった。
好き嫌いを抱くまでの感慨など無い。



(突き放してやった方が、ナルトの為だ)



そう、ナルトも望んでいる。



「……」



開きかけた口が。
けれども、それ以上の言葉を紡げなかった。
嫌いだという、たった3文字が。
声に出す事が出来ない。

真直ぐの、きれいな光。
里の誰を相手にしても、いや他国の女性でさえ、ナルトに触れれば特別な想いを抱くだろう。
その未来を予測するなら、ここでナルトの想いを断ち切る必要があった。
必要があるのに。

(俺との恋愛の先には、何も無い)

分かっているのに。
ナルトのテリトリーに自ら入って行った俺が悪いのか。
目を、逸らせない。



「俺が嫌いだと言って。言えないのなら――」



再び、口づけられる。



「ここで、俺を抱いて」
「っ……」



(――どうして)



この子はこんなにも真直ぐなのだろう。
何も無いと分かっていながら、何故、関係が欲しいと言うのだろう。

「……言わないの、先生」
「……」

俺の腹の上にまたがり、俺の眼を見つめて。
ナルトが自分の上着へと手を伸ばした。
ナルトが服を脱いでいく様を、じっと見つめる。
ナルトもまた、食い入るように俺を見つめていた。

険しささえ感じさせる、強い光。
ストイックながら、妖艶ささえ醸し出す、ナルトの白い肌。
かつて、こんなにも扇情的な様を見た事があるだろうか。

目を離す事も出来ないまま、衣擦れの音を聞く。



一糸まとわぬ姿になって、ナルトは再び俺を見据えた。

「抱いて、てばよ」
「――出来ない」
「何で!」
「お前が傷つくだけだ」
「俺は傷つかない! いや、傷ついてもいい!」
「……」
「今ここで、放り出される事の方が、俺を傷つけるってばよ!」



(……)



裸にさせて。

俺は何をしているのだろう。

こんなに悲痛な表情をさせて。



(俺が、好きだと)



だって、この先には何も無いじゃないか。
子も作れなければ、確実に俺の方が先に死ぬ可能性の方が高い。
その時に、何がナルトを待っている?

(後悔など、させたくない)

わざわざ俺の手を取らずとも、幸せは待っているはずなのに。



「……」



(ほら、俺は、拒む事が出来ない――)



そっと、ナルトの手に指を這わせる。
ナルトは目を細めた。

口づけると、すぐにナルトが応える。















――――
2015.2.10.
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