ナルト・カカシ誕生日

□2014.愛を貴方に
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伝えたい事はたくさんある
(*後半性描写あります。苦手な方はご注意ください)






少しだけ長引いた任務に、帰る時間を気にしてしまった辺り、忍びとして自覚が足りないなと反省する。

「ナルト、誕生日おめでとう」
「サクラちゃん、覚えていてくれたんだってば?」

任務が終わって、帰り支度を始めていると、サクラちゃんがそう声を掛けて来た。
素直に嬉しいと伝えれば、サクラちゃんは微笑む。

「後はやっとくから。カカシ先生、待ってるんでしょ?」
「あ……うん」
「ニヤニヤしちゃって」

サクラちゃんが苦笑する。



『カカシ先生と付き合っている』



そう、初めてサクラちゃんに打ち明けた時、サクラちゃんは、やや引き気味に、戸惑った様子を見せた。

『わぁ〜……それ、職場恋愛みたいな感じ? 同じ班で? リアルイチャイチャパラダイス? ……あのカカシ先生が、アンタと……やだ、想像させないで』

そんな反応を見せたサクラちゃんだってけれど。
今は、いい理解者だ。
カカシ先生にも、サクラちゃんが知っていると伝えてある。

他にこの事を知っているのは、もう一人、シカマルだ。
こちらも、最初は思いきり引いた顔をされた。

『お前……ただ者じゃないとは思っていたけどよ……まさかだよ、やっぱり恋愛1つとってもスケール違うんだな……計り知れな……いや、いいんだけどよ』

戸惑いながらも、受け入れてくれた。
知っているのは、今の所この2人だけだ(多分)。
サイが、時々不審そうな目をするけど。
実は知ってるのかと、突っ込みたくなるような言動を取る事もあるけど。



(まあ、ばれても全然かまわないんだけどさ)



「ごめん、サクラちゃん。ありがとう」
「いいわ。楽しんでね。誕生日」



サクラちゃんに手を振って、家へと急ぐ。
さっと身支度を整えて、カカシ先生と待ち合わせしているホテルへと急いだ。

「はたけカカシで予約してあると思うんだけど……」
「はい。承っております」

鍵を貰い、向かった先は最上階だった。
階を上がるにつれて、どんどん豪華になって行く。

(俺、不釣り合いかも……)

ちょっとは余所行きの服を着ては来たけど。
カカシ先生は、もう来ているだろうか。



『どちらかの部屋ででも良かったんだけど、せっかく休みを合わせられたしね。俺の名前で予約しているよ』



カカシ先生は、そう目を細めた。



最上階。
廊下を挟んで、右奥と左前に、2つしか扉が無い。
階を2つ分けるようにして、部屋があるのだろう。
敷地的には、大きな部屋だと想像できる。

「アイビーの部屋……こっちか」

アイビーの刺繍が施された真紅の扉の枠は、細かい細工が施されていた。
渡されたカードをかざすと、扉全体にチャクラの文様が浮かび上がる。
扉を押してみると、さして力も入れないのに、大きな重そうな扉は静かに開いた。

「先生……?」

間違っていないか恐る恐る覗き込む。
視線を動かすと、目の前に誰かの足がある。
グレーのスラックス。
黒いカッターシャツ。
長い手足。
視線を上へと動かしていくと、最終的に、カカシ先生と目が合った。
カカシ先生は優しく微笑んでいる。

「どうしたの。入っておいで」
「――よ、良かった、間違いじゃないってばね」
「ふふ……」

部屋は広かった。

「すっげ……」

白い壁に、飾られた花が、絵画が、映えている。
柔らかなベージュの絨毯はふかふかとしていて、ベッドの下だけ、扉と同じ、深い真紅の色だ。
前面に広がった窓の外は、木の葉の里が一望できる。
部屋の中央のテーブルは大きく、向かい合うと、少し距離ができて、テレビの中の貴族の食卓みたいだった。
テーブルとベッドの間にソファーもあって、それに合わせておいてあるテーブルの方は、俺の部屋のテーブルと同じくらいで、安心する。

(こっちのテーブルの方が落ち着くかも……)

「別の国に来たみたいだってばね」
「オーナーが他国の商人だった人だからね。彼の護衛に当たった事がある」
「そうなんだ……」

木の葉に居るはずなのに。
ここはまったくの別世界だ。
















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2014.10.16.
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