頂き物・リクエスト2
□630000打リク・光の中へ
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光の中へ
「だって、そんな神みたいな子が居る訳ないでしょう?」
何処か莫迦にしたように嘲笑さえ含んだカカシのその言葉は、その意味以上に少年を愚弄するニュアンスがあり、自来也の表情を険しくした。
「あんなに蔑まれて育って、真直ぐに明るく育つ筈が無い。それは自然の成り行きだ。偽善者か、或いは完全に――」
「カカシ、お前……」
最近ナルトの周囲で起こる奇妙な事件の首謀者が、どうも彼の上司らしいと自来也が気付いたのは、本当に偶然だった。
カカシは常にナルトの傍に居る。
それは、周囲からすれば、ナルトの加護の為にそこに居るように誤解を与えていたが、実際は、カカシの企みが露見しない様に見張っているのだと自来也が気付いたのは最近の事だ。
もし気が付かなければと思うような出来事もあり、ぞっと背筋を泡立たせる。
「ナルトの中には闇がある。それを上手に隠している秘訣を聞き出そうと思って」
「だからと言って暴漢に襲わせたり、任務で危険に晒すなど、もっての他じゃ。お前は歪んでおる」
「――何とでも」
カカシの目に宿る暗く鈍い光に、自来也は、カカシが本来見せていた姿をすぐには思い出す事が難しかった。
九尾が暴走すればいい。そうすれば、ナルトの本性が暴かれる。
今夜は自来也は用事で出掛けている、カカシは策を弄した。
さすがにこの人数では、ナルトも参るはずと、カカシは十数人の目の虚ろな男達を見回す。
彼らには、既に強い催眠術が掛けてある。
ナルトの服を剥がし、己の欲望をナルトへと突っ込む事しか考えられなくなっているだろう。
今日はナルトは1人での任務だ。
そうなるように仕向けてあった。
帰り道に通る林で、人を1人気絶させ転がしている。
ナルトが無視すれば、それを確認し追い詰めればいい。
もしその者に気を引かれたならば、ここに居る男達がナルトを襲うだろう。
ふと、男達の意識が変わった。
ナルトの気配が近付く。
「おいっ、兄ちゃん、どうしたんだってばよ!」
焦ったようなナルトの声が響いた。
それが、合図だった。
「何だってばよっ、お前達!」
驚嘆に必要以上の大声を出しながら、ナルトが彼らと対峙する。
(――何故、逃げない?)
そんな男など置いて逃げればいい。
こんな人数、まだ子供のお前に適う訳がない。
カカシは苛々とした。その理由は分からない。
「やっ、な……っ、何してっ……!」
誰かがナルトを押し倒し、それを機に、たくさんの手がナルトの服を剥がそうとする。
もがくナルトの細い手が見えたが、男達の影にすぐに見えなくなった。
「っ……」
ナルトの姿が見えなくなった瞬間に、カカシを冷水を浴びたような戦慄が襲う。
「お前達、やめ……っ」
――何を、言おうとしたのか。
「やめんかっっ!」
眩暈を伴ったカカシの逡巡は、突如響いた自来也の声によって中断される。
瞬く間に、鈍く虚ろな男達は倒されていく。
同時に、ナルト自身も自来也の手によって意識を無くされていた。
「――お前、自分が何をしたのか分かっておるのか?」
ナルトを腕に抱いた自来也が、カカシを糾弾する。
しかしその口調は恐ろしい程静かで、何の感情もそこに読み取る事は出来なかった。
「ナルトの記憶を消す。お前の仕業とは、ナルトには知らせない。恋慕う相手が自分に何をしたかをナルトに知らせるほど、儂は正義に満ちてはいない」
「え……?」
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2015.1.12.
楓花様リクエストありがとうございます。