□2015.バレンタイン
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バレンタイン






「で。分かったから、出して」
「……」

静かな微笑みを湛えながら、そう短く伝えたナルトに、カカシは毎年の事と、早々に言いなりになる事に決めた。
といっても、嫌々ではなく、かなり積極的に、今日の日の戦利品をナルトへと差し出す。
『ただいま』とすら伝えていない。
靴を脱ぎながら、上り口に立って自分を――いや、カカシの戦利品を見下ろしているナルトを仰ぎ見て、カカシは俯いて顔を隠して静かに笑った。
そこには確かに、カカシの中に、喜びの感情が存在した。

「……毎年毎年……」

2つの袋一杯にでも入りきっていない箱やら袋やらを覗き込み、ナルトは少しだけ嫌そうに息を吐く。

「よくもまあ、飽きずにこんだけ貰えるってばね」
「ふふ……」
「……何笑ってんだってばよ」

隠していた笑みが漏れ、そっと視線を上げると、明らかな不機嫌さを出して、ナルトは唇を尖らせていた。
目が合えば、ナルトは益々不機嫌な色を濃くする。
嫉妬を隠す事無く見せる恋人のその表情が、予想以上に自分のテンションを上げさせる事に、カカシはもう随分前から気付いていた。

「ぜーんぶ、お前と半分こしよう」
「こんなに食えないってばよ」
「そうだね、お前も――」

言葉を止めた所で机の上へと視線を走らせれば、同じ様に視線を動かした後、ナルトは目を瞬かせ、少しバツが悪そうに口を噤んだ。
ナルトの部屋、ナルトの机の上には、カカシに負けないくらい――いや、それ以上の贈り物が山積みにされていた。
ハート型や、ラッピングが凝った物、色もピンクや赤が目立っている。

「2人分合わせたら、ちょっとやそっとじゃ無くならないね」
「……先生。――俺は、いいんだってばよ……」

言葉を窮する様に語尾が小さくなったナルトに、カカシは優しく目を細めた。
自分の方がカカシよりも沢山の贈り物を抱えているのに、ナルトはカカシに向けられた好意ばかりを気にする。
純粋なヤキモチが。
カカシの頬を緩ませる。
カカシは袋から箱を1つとると、それを開けた。
4つに仕切られた小箱には、装飾された外紙にくるまれ、ココアのまぶされたトリュフが4つ入っている。
それを摘まむと、カカシは自分の口へと運ぶ。
その様子を、ナルトは不機嫌に見つめていた。

「っ……」

口にする事を咎める様な視線が、カカシへと向けられる。
カカシはそれを無視し、その丸みに歯を立て、咥えたまま、ナルトへと顔を近づける。
目を細め、ナルトもまた、顔を近づけた。
口付けに、邪魔になったトリュフが床へと転がる。
すぐにそんな事も忘れる程、お互いの舌が熱を探り合う呼吸に変わった。
ココアの苦さは、しかし全く気にはならなかった。
むしろ甘ささえ感じられた。
カカシの唇に付いたココアが、口づけでナルトの首を汚し、甘い香りがカカシの鼻腔をくすぐる。
何度触れても、ナルトの肌は滑らかで、吸い付く様にカカシの指を迎えた。

「あ、ん……」

既にナルトの昂奮の雫は、ナルトの性から後腔まで滴っており、その入り口を艶めかしく照らしていた。

「っまた、そこ、そんな、して……」

そこへと口づけると、ナルトの抗議の声が上がる。
構わず舌と共に指を差し入れれば、そこは軽い抵抗と共に、カカシの長く神経質そうな指を咥える。
直ぐに指の数は増やされ、ナルトが甘い声を上げた。

「昨日も俺を何度も咥えたからね、お前のここ。ほら、もう、三本目――」
「もっ、いいから……っ」
「お前のおねだりって、どう転んでも可愛い」
「ねだってないってばよ……!」
「こんなにヒクヒクさせて、中もうごめいて」
「ああもうっ」













――――
2015.2.17.
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