ミムラス!
□青春ってしょっぱい味がする
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「「あ。」」
お昼休み。ご飯を終えた私は国語準備室へと向かう途中廊下で坂田先生とばったり会ってしまいました。
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場所は変わり屋上なう。先生は一服しに行く様だったので私も着いていくことにした。
「昨日はありがとうございました。」
とりあえず真っ先にお礼を言っておく。これで任務は一応完了だ。
「いえいえ。…失恋、とか?」
「ビンゴ、です。」
「―…なんかごめん。」
「いえいえ。」
凄い哀れんだ目で見られてる。まぁ、それもそうか。けど、不思議と昨日よりは全然引きずっていない。だって、
「先生には凄く救われたんで。」
「なりゃ良かった。」
お昼休み終わりのチャイムが鳴った。同時に5時間目が始まるけれど坂田先生は一向に動こうとしない。
私もなんとなく此処に居たかったので授業については何も言わなかった。
「…凄く好きだったんです。
柄にも無くメイクも髪型も可愛く見える様に頑張って」
沈黙を破ったのは私。
気付いたら口が動いていた。私なんでこんな話してるんだろう、こんな昨日会ったばっかりの人、しかも先生に。
先生は何も言わないけどたまに頷いてくれたりで、話は聞いてくれてるみたいだ。
「でも、向こうには最近彼女が出来てて。」
頭は冷静で客観的に判断出来るんだけど、話が止まん無くて遂に涙腺まで緩み始めてしまった。
「…ばか、みたい、わ、たし。」
声まで震えてきて、涙で視界が揺れる。
自分がとっても情けない。
けれどいきなり視界が真っ暗になって先生の服が真ん前にあり、つまり先生に抱きしめられていた。
「んなことね―よ。」
宥めるように先生の手が背中をぽんぽんとリズムよく叩く。
ちょっとだけ落ち着いてきた。
「詩杏ちゃん振るなんてとんだ馬鹿だな、こんなに可愛のに。」
とっても、とっても優しい声色で甘い時間だった。
完全に冷静になった私は「ありがとうございます」とだけ言って離れた。顔を見ればへらへらしていた。
「…坂田先生って凄くモテるでしょ?」
「何々?先生に惚れちゃった―?」
「まさか。弱ってる女子高生に優しくして落とそうなんてしてる変態教師に誰が惚れますか」
「結構きついこと言うな。」といつもみたいに頭に手を置きまたぽんっとされるのかと思いきや、思いっきり髪の毛くしゃくしゃにされた。
「ちょっ、何するんですか〜!」
「先生をからかった罰だ。」
してやったりのドヤ顔。
それと同時に5時間目終了のチャイムが鳴り、私と先生は丸々授業をサボってしまった。
「「ま、いっか。」」
2人の声がハモって、お互いに笑いあった。たまにはこんなのも悪くない。うん。
title byシングルリアリスト様.