ミムラス!

□夕焼けが追いかける
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6限目の授業はLHRだった。土方先生は1日居ない様なので今日は副担任である先生が授業を受け持った。

今、その授業が終わるチャイムが鳴ったところである。

「起立、礼。」

その言葉と共に多くの生徒が教室を後にする。

さてと、今日は委員会なんだっけ。一緒に行こうとお隣りの席を見ると、机に鞄が置かれていたが山崎君が居なかった。


「(…トイレとか、かな?先に行っておこうかな。)」


と考えてみたものの、場所を聞いていないことに気付いた。場所が分からなければ、動くことが出来ないので一旦自分の席に座る。


机に鞄を置きそこに顔を埋め思わず溜息を吐く。

「どうした?」

前を向けばしゃがんで机に顔を載せている坂田先生。顔が近くて慌てて離れた。

「うおっ、坂田先生。まだ居たんだ。」
「まだ、って酷くない?それに銀ちゃんで良いぞ。」
「すみません。えっと、銀…ちゃん?」
「次からそれな。で、どうした?」

「委員会が有るんですけど、教室聞くの忘れて山崎君待ってるだけです。」
「あ―…委員会か、それは俺にはわかんね―や。ごめんな?」
「いえいえ。大丈夫ですよ!待ってれば山崎君来ますし」

先生の手が私の頭に乗る、まただ。

「せんせ、…銀ちゃんって頭ぽんってするの癖ですか?」
「…詩杏ちゃん限定かな?なんか触りたくなるんだよ」
「……変態。」
「ち、違っ!そういう意味じゃなくて」


慌てる先生が面白くてくすくすと笑いながら「冗談ですよ。」と告げると不服そうに口を尖らせていて、その顔にまた笑った。

「詩杏ちゃん。」「坂田。」

「あ、山崎君」「帰ってたんだ、多串君?」

名前を呼ばれ視線を向ければ、山崎君とどうやら出張から帰ってきた土方先生がドアの近くに居た。


温かい気持ちになっていた私は知らなかったんだ、土方先生の鋭い目つきも、山崎君が何を思っているかも、これから起こる出来事も。



title by シングルリアリスト


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