キスシリーズ
□君からのキス
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私の恋人はバスケ部の氷室辰也君です。陽泉高校のバスケ部はどうやら今年のI・H3位の超強豪のようで、毎日の練習も長く、私も部活に入っているのですが、(一応運動部。間違ってもバスケ部ではない)終わる時間が全く違うので会えるのは氷室君の部活が終わってからなのです。
氷室君が部活を終えるまでの間私は一足先に寮に帰り、シャワーを浴びたり、体を休めている。
今日はだいぶ疲れていたようでシャワーを浴びた後氷室君が部活を終えるであろう時刻にアラームを掛けシソファーで眠った。
しかし、次に目が覚めたのはアラームではなく携帯の着信音。とりあえず通話ボタンを押すとそこには愛しい人の声があった。
「もしもし詩杏?」
「ひ、ひむろく―…氷室君っ!?」
「おはよう、かな?」
自分でもわかる、私かなり寝起きの声してるよ今。電話越しからクツクツと笑う声が聞こえて体温が一気にあがる。
「うあああ、ごめんなさい!今すぐ用意して行くね!」
時計を見ればアラームを掛けた時間から1時間程過ぎており私はソファーから飛び起き、髪を整え始めた。
「折角だし俺が行こうか?」
その案に私の動きが一度止まる。
…氷室君が女子寮に?
そんなことしたら氷室君は私の部屋に来るまでにお姉様(3年生)の餌食だ!そんなの堪えられません
「いやいやいや、私が行きます。」
「そう?じゃあ待ってるね?」
「うん!即効で行くね!」
私は見えもしないのに直立し一度敬礼をしてから(あるあるだよね)電話を切った。
****
「あっれ―?」
氷室君の部屋に向かおうと男子寮の廊下を歩いていると紫色の髪の大きな少年に出会った。
そういえばこの人…
「確か―…紫原君?」
「そう。えっと…えっと…室ちんと一緒に居るのを見かける詩杏ちんだ!」
「よく覚えてたね。」
彼は得意げに笑った。
なんだか可愛いかも、とか思ったり思わなかったり。
「室ちんとよく一緒に居るからね。今から室ちんのところに行くの?」
「そ、そうだけど?」
「良いな―!俺も詩杏ちんと遊びたいな―。」
私の後ろに回ると背後から抱き着いてきた。氷室君の後輩さんだし邪険にも出来ないし、なんて困っているとポケットの中で携帯が鳴り、ディスプレイを見ると氷室君だった。
「もしもし詩杏?遅いけど大丈夫?」
「…えっと、今男子寮の廊下には居るんだけど―…って、あっ!」
私がなんて答えようかと困っていると背後から携帯を奪われた。
「もしもし室ちん―?」
「なんで敦が出るんだ?」
いかにも不機嫌そうな声。
「俺も詩杏ちんと遊びたいの―!」
「詩杏は俺のだから敦はだめだ、今から行くから待ってろ。」
電話が切れツーツーと電子音が聞こえると同時に廊下の奥側からガチャとドアが開く音がして、姿を現したのは私の大好きな氷室君。
無言でこちらに向かってきて、紫原君を私から引き離す。
「いくら敦でも詩杏だけは手を出すなんていただけないな。」
それだけ言って、呆気に取られている私の手を掴み無言で自身の部屋の方へとぐいぐいと引っ張っていく。
「(…もしや、怒ってる?)」
なんていう不安は的中の様で部屋に入るなりソファーに座らせられ。
「…何がどうなって敦といちゃいちゃしてたのか早く説明して。」
いきなりの質問、というより尋問。そしてかっこいい人が怒ると迫力がやばい。
「いちゃいちゃなどしておりません!」
とりあえずこれでもかというくらいに首を横にぶんぶんと振る。
「じゃあ何してたのさ。」
「来る途中に紫原君に見付かって、後ろから抱きしめられただけ。」
うん、それだけだ。それに私からしたらあれは不可抗力であり、私は悪くない。うん!
氷室君は「分かった」とは言ったけど次に溜息を着いた。
「…敦に気にいられみたいだし、次からは俺が女子寮に行くよ」
「えっ…?」
「駄目なの?…そういえば今日も俺が女子寮に行くの断ったよね?それって詩杏が男子寮に来て敦に会うため?」
「まさか!私は氷室君一筋だよ!」
「じゃあどうして?」
「氷室君ってかっこよくて優しいから女子寮に来ると直ぐに女の子に囲まれちゃって、それで…」
言っている自分がどんどん惨めに思えて来る。
「それで?」
「…嫉妬、しちゃうの。」
氷室君を独占しようなんて、醜い、醜い、醜い。
けど氷室君が他の女の子達に囲まれてるとモヤモヤするのも確かで。
なんて頭の中でグルグル考えていると背中に氷室君の手が回りぎゅっ、と抱きしめられて。
「…可愛い。」
私は驚きすぎて「えっ?」としか言えなかった。
「そんな風に思ってくれてたなんて嬉しい。疑ったりしてごめんね?」
私は嬉しくて唇を噛み締めこれでもかというくらい首を横にぶんぶんと振った(本日2度目)
「…でも敦に抱きしめられたのは事実なんでしょ?俺傷付いたな。」
密着していた体を離し私の肩に手を起き私を見つめる彼は満面の笑顔私は咄嗟にやばい、と思ったが逃げる場所もなく手遅れだった。
「キス、してよ?詩杏から。」
音声だけで聞けばただの甘い甘いお願いなのだが、彼の後ろには有無を言わせないオーラが出ていて私は従わなければいけなかった。
「目瞑って?」ってお願いしても爽やかに「嫌だ」と言われたので、私が目を瞑って、ええい!とキスした。(目を閉じてもかろうじて唇に触れれました。)
「よく出来ました。」
目を開けると先程とは別人の様に優しい声で頭を撫でてくれる氷室君が居たけど、その後とんでもないキスを何度もされて氷室君には何をどうやっても一生敵わないと悟った。
君からのキス
***
初krk!そしていきなりの氷室君。黄瀬君も好きだけど氷室君も大好き!
ちょっとずつkrkも書いていきたいと思ったり。