キスシリーズ

□指切りの代わりにキス
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本日は私の家でお泊りデート。夜も深まりそろそろ寝ようかと寝室を覗くと、


「……どうして涼太が私のベッドに居るの?」


涼太が既に私のベッドの上で布団の中に居ました。


「待ってたっス、詩杏っち!」

私を見た涼太はまるで飼い主を見た時の犬のようなきらきらの笑顔。目細めたら大型犬に見えないこともない。


「詩杏っち、早く。」
「うわっ!」


涼太が私の腕を引っ張りベッドの上へと身体が乗る。すかさず涼太は私に布団を掛けそのまま自身の方へと引き寄せる。

布団の中温かいな、なんて呑気に考えているうちに涼太の腕が私の背中に回りぎゅっ、と抱きしめられた。


「詩杏っち可愛いッス」


にこにことしていたのも束の間急にしゅん、と犬で例えれば耳が下がったようなそんな態度になった。


「詩杏っち、詩杏っち、詩杏…」


背中の腕に力が入りきつく抱きしめられた。涼太の様子が可笑しい。


「どうしたの?」
「今日詩杏っちが離れていく夢見たんス」


私の肩に顔を埋め今にも泣きそうな声色だ。


「詩杏、俺から離れたりしない?」


夢ごときで子供か、とも思うけれどそれだけ愛されているのかと解釈すれば、堪らなく愛おしくなった。


「ば―か、離れるわけないでしょ」


元気付けるために明るい口調で言い頭を撫でれば、涼太は勢いよく顔をあげ「約束ッスよ?」と額にキスを落としへへへ、とにやけに近い顔で笑っている。

【指きりの代わりにキス】

(私の方が離れられないよ)(詩杏っち大好きッス―!)(はいはい、お休み)

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