キスシリーズ

□目を逸らした隙にキス
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涼太は今日も学校を休んだ。
正確に言えば涼太こと私の恋人である黄瀬涼太はここ4日学校を休んでいる。

ただ、理由がサボりでなく、仕事のため何も言うことが出来ない。

私と同じ様に勉強や部活をしている時は同じ高校生だと思えるけど(中学の時キセキの世代って言われてたのにはちょっと距離感じるけど)モデルなんてやってたら本当別世界の人に感じる。

会えない時間が重なり学校からの帰り道センチメンタルになっていると、ポケットの携帯が震えた。

携帯を取り出すとディスプレイには‘黄瀬涼太’…噂をすればなんとやら、まぁ口には出してないけど。
通話ボタンを押して電話に出る。

「あ、詩杏っち?」


やっぱり涼太の声を聞くと繋がってるのだと、安心する。
本当は生で聞きたいけど涼太不足の私にはこれで十分。
…あ―、そんな風に思う私は相当涼太に惚れてるな、なんて思うけど本人には絶対言ってやらない。

「―…ん、もしもし―?」

「電話に出るってことはもう学校終わったってことッスか?」

学校は30分位前に終わっている。今はテスト一週間前でどこも部活停止中、ってことで私も学校が終わりまっすぐ家に帰っているところ。

「ん―、そだね」

「はぁ―。残念っス。」

電話越しにでも分かる程彼は残念そうだ。

「そだね、今日の体育バスケだったしね?」

部活が出来ないから体育のバスケを思いっきりやる、って言ってたのは5日前。もう4日も涼汰に会ってないのか。会いたいな。

「それもあるけど、俺は詩杏っちに会いたかったっス!」

デジャヴ?
でも、恥ずかしくて何も言葉が出て来なかった。

「………。」

「…照れてる?」

「煩い!ばか。」

…ああ、またやっちゃった。素直に私も。って言えば良いのにそれができない私。
自分でも思う、本当可愛くない。

「照れてるんッスね!詩杏っち。そういうところもまた可愛いッスよ!」


「―…私も。」

「え?」

「私も涼太に会いたい。」

「……。」

「涼太こそ照れてる?」

「…キス、したい。」

「へっ?、ってか無理でしょ」

「だってしたいものはしたいッス!詩杏はしたくないんスか?」

「―…したい、よ。」

「言ったッスね?」

その言葉は受話器からではなく、案外近くから聞こえてきて。

いきなり後ろから腕を引っ張られて、振り向いてなんか綺麗な顔があるな、なんて思っていたらそのまま顔が近付いてきて唇が重なって、離れたら私の前に涼太が居ました。


「路チュー」


なんて言うしてやったりの涼太の胸板を思い切り押して距離を取り睨んでやった。これは私が可愛く無いせいじゃなくて涼太が悪い。

「だって詩杏っちもキスしたいって言った!」
「…た、確かに言ったけど!だからって路上でしなくても。ってかなんで居るの!?」

「仕事がいつもより早く終わったから急げば学校間に合うんじゃないかと思ったんスけど…。」

「…でもこの時間だったら来てもすぐ帰んなきゃいけないじゃないの?」


「―…ん、まぁ詩杏っちにちょっとでも会えるかなって思ったんスよ」

へらへらとお得意の笑みを向けられるけど間近でそんな言葉言われたから顔が赤い。

「―…やっぱ照れてるじゃないッスか。」
「ばか。照れてない。」
「詩杏っち可愛すぎ。もっかいチューして良いですか?」
「だっ、だめ!」

ちゅ―、なんて迫って来るけど私は手でガードする。
一旦冷静になって涼太を見ればモデルのくせにたこの真似の様な唇をしているせいか妙な不細工な顔をしててそれがどことなく可愛くて、

「あ、UFO!」

「えっ!、何処っスか――…って詩杏っち!?」


彼が私の子供騙しみたいな嘘に引っ掛かっているうちに頬っぺたにちゅっ、といつもなら恥ずかしくて出来ないキスを落とした。


目を逸らした隙にキス
(どうせなら唇が良かったっス)(煩い、ばか。)

黄瀬君×ツンデレ彼女
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