奇跡の生還者達

6.『前哨戦(前編)』
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それはその日のある休み時間の事だった。

ルナは毎度の事ながら、クラスメイトの雑務に手を貸していた。

本日の任務は体育の授業の後片付け。

という訳で、担当である女子生徒と2人で体育倉庫にいた。

片付けも何とか終わり、少女は手を貸してくれたルナに礼を言う。

「手伝ってくれてありがとね、ルナ」

「ううん、また何かあったら遠慮なく言ってね」

少女の礼に対し、ルナは笑顔で返す。





教室へ戻る道中、少女が「そういえば」と話を振る。

「もう少しでバレンタインデーね」

「ばれんたいんでー……」

少女が放った単語を、ルナは片言で復唱した。

その反応に少女は目を円くした。

「……ルナ、もしかしてバレンタインデーを知らないの?」

「え!?いや、知ってるよ!?」

ルナが慌てて首を振る。

「えっと、あれでしょ?確か……チョコ食べる日……?」

「……まぁ、間違ってはいないけど……随分と偏った解釈してるわね」

少女は呆れた様子でルナを見つめる。

「正確には、女の子が好きな男性にチョコレートを渡す日よ」

「そうなの?私が前にいた学校では女の子同士でチョコあげ合っていたけど……」

ルナは見解の相異に首を傾げる。

「あぁ、友チョコってやつね?最近はそういうのも当たり前になってるけど、基本は女から男へ、よ」

「ふ〜ん……じゃあクラスの男子みんなにあげれば……」

「ちょっとちょっとぉ〜!」

ルナの発言に対し、少女は間髪入れずツッコミを入れる。

「好きな男性って言ったでしょ!?」

「……?私みんな好きだよ?」

首を傾げてそう返答するルナを見て、少女はガックリと肩を落とした。


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