奇跡の生還者達
□6.『前哨戦(前編)』
2ページ/6ページ
それはその日のある休み時間の事だった。
ルナは毎度の事ながら、クラスメイトの雑務に手を貸していた。
本日の任務は体育の授業の後片付け。
という訳で、担当である女子生徒と2人で体育倉庫にいた。
片付けも何とか終わり、少女は手を貸してくれたルナに礼を言う。
「手伝ってくれてありがとね、ルナ」
「ううん、また何かあったら遠慮なく言ってね」
少女の礼に対し、ルナは笑顔で返す。
教室へ戻る道中、少女が「そういえば」と話を振る。
「もう少しでバレンタインデーね」
「ばれんたいんでー……」
少女が放った単語を、ルナは片言で復唱した。
その反応に少女は目を円くした。
「……ルナ、もしかしてバレンタインデーを知らないの?」
「え!?いや、知ってるよ!?」
ルナが慌てて首を振る。
「えっと、あれでしょ?確か……チョコ食べる日……?」
「……まぁ、間違ってはいないけど……随分と偏った解釈してるわね」
少女は呆れた様子でルナを見つめる。
「正確には、女の子が好きな男性にチョコレートを渡す日よ」
「そうなの?私が前にいた学校では女の子同士でチョコあげ合っていたけど……」
ルナは見解の相異に首を傾げる。
「あぁ、友チョコってやつね?最近はそういうのも当たり前になってるけど、基本は女から男へ、よ」
「ふ〜ん……じゃあクラスの男子みんなにあげれば……」
「ちょっとちょっとぉ〜!」
ルナの発言に対し、少女は間髪入れずツッコミを入れる。
「好きな男性って言ったでしょ!?」
「……?私みんな好きだよ?」
首を傾げてそう返答するルナを見て、少女はガックリと肩を落とした。