奇跡の生還者達
□11.『試合(前編)』
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「では、手元のくじを開いてくれ」
景品の効果もあり、生徒らは躍起になってくじを開いた。
チームのメンバー如何で景品が得られるかどうかが決定すると言っても過言ではないため、当然と言えば当然だが、その光景は恐怖さえ感じさせる。
メノリは欲望に見舞われた人間の姿を垣間見たような気がした。
くじはAからDまでの4チームに分けられるようになっている。
各4クラスずつ、計16チームでのトーナメント戦の試合形式で毎年行われている。
「ではまずAチームの者は固まれ」
集まった5人の中にはベルがいた。
ベルは同じチームメイトに「よろしく」といつもの笑顔を向けて挨拶を交わした。
「続いてBチーム!」
Bチームの中にはシャアラとルナの姿があった。
シャアラはルナと同じチームになれ嬉しそうだ。
ルナも「がんばろうね」とシャアラに笑顔を向けた。
他のチームメイトもルナと同じチームになれてガッツポーズを取った。
ルナの運動神経の良さは、学園でも有名である。
間違いなく優勝候補の1つとなるであろう。
「Cチーム!」
Cチームの中にはハワードとメノリがいた。
「足を引っ張るなよ〜」
ハワードの言葉を聞き、メノリが睨む。
「ふん、それはこっちのセリフだ」
2人の険悪なムードにチームメイトは、駄目かもしれない、と密かに思うのであった。
「最後にDチーム!」
残りのDチームにはカオルとシンゴがいた。
「よかったぁ〜!カオルと一緒なら優勝間違い無しだね!」
シンゴがはしゃいでカオルに話しかける。
「……全力は尽くす」
シンゴの様子にカオルは苦笑いして返答する。
カオルと同じチームになれた女子2人はとても嬉しそうな顔をし、逆に違うチームとなった女子は羨ましがり、自分のくじ運の無さを呪った。
こんな光景前にも見た事あるな、とシンゴは苦笑いする。
しかし、このチームも間違いなく優勝候補の1つであった。
カオルの身体能力は群を抜いていた。
同じチームになれた男子もカオルの存在を心強く思った。