奇跡の生還者達

15.『決断B』
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15.『決断B』


ルナ達は集合場所と時間を決め、各々自由に回る事に決めた。

ハワードとシンゴはレースゲームで勝負をすると言ってすぐさま駆け出して行った。

メノリは「またトラブルを起こされては適わん」と言って2人の後を追った。

シャアラは「ベルにやってもらいたいものがあるの!」と言ってベルの手を引いて行った。

チャコはルナを強引に引っ張りいつの間にか姿を消した。

そして、カオルは現在1人館内を散策して回っている。





「カオル〜、ちょっとええか〜?」

ひょこっと現れたチャコがカオルを呼び、手招きをする。

チャコの後を付いて辿り着いたのはUFOキャッチャーの筐体。

そこにはルナの姿もあった。

何故かソワソワと落ち着かない様子だ。

「どうした?」

「えっと……その……」

一向に話を進めないルナに、チャコは小さく溜め息をつき、筐体に飛び乗った。

「この中のぬいぐるみ、パグゥに似てると思わへんか?」

「……確かに何となく似ている気もするな」

カオルはガラス越しに置いてあるぬいぐるみを凝視し、頷いた。

「それでな、ルナがどーしても欲しー言うて何度もチャレンジしとるんやけど、上手くいかんのや」

「ちょ、ちょっとチャコ!私そんな事……いっ!?」

カオルの死角で、チャコがルナの背中をギリッとつねり、ルナの反論を止める。

ルナの不可解な様子に首を傾げつつ、チャコの発言から何となく呼ばれた理由を察した。

「俺にこれを取れと?」

「せや!カオル器用やからこういうのも上手そうやしな」

「……やってみてもいいが、初めてやるから失敗しても文句言うなよ?」

そう言ってカオルは投入口にコインを入れた。

その様子を見て、チャコはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ルナは顔を真っ赤にして俯いた。


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