奇跡の生還者達
□16.『決断C』
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「は……ははっ……何言ってるんだよカオル……変な冗談やめろよ」
ハワードが空笑いしながらカオルを見つめる。
その瞳は、何かに怯えるような眼差しであった。
カオルはハワードの言葉に何も返さず沈黙した。
その沈黙が、カオルの言葉が事実である事を暗に示していた。
「な……んだよ……何とか言えよ……僕をからかってるんだろ!?そうだって言えよ!今なら許してやるからさぁ!!」
ハワードはカオルに詰め寄り、肩を掴んで前後に揺らした。
「進級を機にって何だよ!あと2週間くらいしかないじゃないか!!何でそんな大事な事を1人で勝手に決めちゃうんだよ!!」
「……すまない」
ハワードの言及にカオルはそう一言洩らした。
「……はっ!そうかよ!!僕達の事なんかどうでもいいっていうんだな!?離れ離れになっても何とも思わないっていうんだろ!?どうせ今日の事だって、面倒だとか思って……」
パァン!!!
小雨が降り注ぐ空間に、乾いた音が響く。
ハワードの頬を誰かが叩いた。
叩いたのは……
ルナだった
16.『決断C』