奇跡の生還者達

17.『決断D』
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その日の夜、ルナは1人明かりの消えているアパートの自室へ帰ってきた。

いつもは「ただいま」と声を発すれば、チャコが玄関へ出迎えて「おかえり」と返してくれる。

しかし今日は、チャコがハワード達に付き添っている為それも無い。

珍しくシンと静まり返った室内を、ルナは物鬱げに歩む。

ダイニングキッチンを通り抜ける傍(かたわ)ら、ふと目を向けた時計は午後7時を指していた。

普段ならこの時間になると丁度お腹が空くはずであるが、不思議と今日は空腹を感じない。

ルナはゆっくりとした足取りでダイニングキッチンを通り過ぎ、エレベーターで2階へと上がった。

そして寝室へ入るなり、ベッドへ力無く倒れ込んだ。

「はぁ……」

ルナがうつ伏せの状態で深いため息をつく。

(何やってんだろ私……)

自分でも何故あの様な事を言ってしまったのか分からない。


『私は例えどっちを選んでもカオルを応援するから』


カオルへ言ったあの言葉に偽りは無い。

なのに、先程の発言はそれとは全く矛盾していた。

悩んで、苦しんで、ようやく決めたカオルの覚悟を、自分は踏み躙(にじ)ったのだ。

(私……最低だ……)

ルナの中を、強い後悔の念と激しい自己嫌悪感が渦巻いていた。







第1期 最終話

17.『決断D』









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