奇跡の生還者達
□7.『throughout the day』
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7.『throughout the day』
その日の早朝、普段の起床時刻より大分早めにチャコは目を覚ました。
ダイニングキッチンの方から物音が聞こえ、チャコの耳の感音センサーが反応を示したのである。
何事かとチャコがダイニングへ赴くと、そこにいたのはルナであった。
ルナはチャコが起きてきた事に気が付くと、苦笑いして謝った。
「あ!ゴメン、起こしちゃった?」
「それは別に構へんけど……何や、もう学校に行くんか?」
ルナは既に登校用のリュックを背負い、家を出る支度を済ませた格好であった。
「うん。昨日バイトから帰ってきて、すぐ寝ちゃったから言いそびれていたけど……」
「カオルと逢い引きでもするんか?」
にやけ顔で口を挟むチャコに、ルナは顔を真っ赤にして「違うわよ!」と怒鳴った。
「7月に体育祭があるでしょ?私、その実行委員になったの。だからその打ち合わせに行くのよ」
「ふーん、そういうのはメノリが進んでやるもんやと思っとったけどなぁ」
「メノリばかりに負担させるのも申し訳ないでしょ。だから私から申し出たの」
ルナの話を聞き、チャコは溜息を落とした。
「な、何?」
「いや……まぁ、学校の行事に積極的に参加するのはええ事か……」
チャコの、まるで自分自身に言い聞かせる様な言い回しに、ルナは納得いかないような表情をする。
しかし打ち合わせの時間も近づいていた為、チャコへの追及はひとまず心の隅に寄せておき、「じゃあ、行ってきまーす!」と元気よく出かけていった。
チャコも「気ィつけてなぁ〜」と手を振りながら玄関でルナの背中を見送った。