記念作品
□5000hitキリリク小説
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「その『僕達』というのが俺らな訳か?」
午後9時、ハワードからの『緊急』のメールにより、学園のゲート前に一同は集結していた。
集められた理由を聞き、カオルが不機嫌そうな顔つきで言う。
「今日はまた随分と凄い理由で呼び出したものだね」
さすがのベルも呆れた様子で「ハハハ……」と空笑いしていた。
「メノリもよく許可したね?」
珍しい、とでも言いたげな表情でシンゴが尋ねた。
「……止めた所で大人しく引き下がる様な奴じゃないからな。下手に却下にして、知らない所でまた何かトラブルを起される方が面倒だと思ったのでな」
メノリの言葉を聞き、シンゴは「なるほど」と相槌を打った。
「私、イヤだわ……オバケ苦手なのに……」
シャアラが憂鬱そうに呟く。
「心配せんでも、ウチが追っ払ったるわ!」
シャアラの足元で、チャコが自信ありげに胸を叩いてシャアラを励ました。
何だかんだでこの状況を楽しんでいる様だ。
そんな緊張感の欠片も無い集団の中、ルナは1人静かに立ち呆けていた。
心なしか、顔色が少し悪い様に見える。
「ルナ、どうした?」
カオルに声を掛けられ、ルナはビクンと体を跳ね上がらせた。
「な、何っ!?」
声はうわずり、振り向く動きはギギギと擬音語が付くかの様にぎこちない。
「ルナ?何だか顔色が優れないが、気分でも悪いのか?」
「う、ううん!大丈夫だから!気にしないで!?」
心配そうに声をかけるメノリに、ルナは引きつった笑みを浮かべた。
誰がどう見ても大丈夫とは思えない。
仲間達が心配そうにルナを見つめる中、チャコは1人ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「あぁー!!ルナの背後に青白い人影がぁ!!」
「いやぁぁぁ!!!!」
チャコの叫びに反応し、ルナは悲鳴をあげ、隣にいたカオルにガシッとしがみついた。
サヴァイヴであれほど勇ましかったルナが、非現実的な存在である幽霊に怯えている。
その意外性に一同は呆然とした。
そしてチャコは、思惑通りのルナの反応に、実に楽しそうに転げ笑っていた。
「まさかルナが、幽霊が苦手だったとはな……」
メノリが意外そうにルナを見つめた。
「昔、テレビで放映されてたホラー映画を夜に見ちゃって……それが夢にまで出てきちゃった事があって……それ以来苦手というか……」
ルナが俯いて白状する。
「チャコは知ってたの?」
「モチや!ルナがそのせいで夜1人でトイレにンンンー!!!」
「余計な事を言わなくていいから!!」
シャアラの質問に対して、幼少期の恥までさらりと言おうとしたチャコの口を塞ぎ、ルナが顔を紅くして怒鳴った。