記念作品
□相互記念小説
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仕事を終えたルナは現在、ロカA2行きの宇宙船の中にいる。
『誕生日とクリスマスは2人が出会ったロカA2で過ごそう』
それが2人で交わした約束であった。
学園を卒業しても、仕事に就き会える時間が減ってしまおうと、この約束はお互い必ず守り続けてきた。
そして今日も……
*****
「ね、ねぇ……やっぱりもう少しだけ……」
「何言ってるんですか!出航の時刻に遅れたらどうするんですか!後の事は私達に任せて、ルナ先輩は早く向かってください!」
「で、でも……」
「い・い・か・ら!」
後輩に強引に押し切られ、ルナは渋々帰りの身仕度を始めた。
正直、後輩達の気遣いは非常にありがたい。
彼に早く会えるというのであれば、これほど嬉しい事は無い。
しかしそんな個人的な、しかもプライベートな理由で自分が本来やるべき仕事まで他の者に任せてしまうのはどうか、という思いが先行してしまうのである。
「ルナは余計な心配しすぎや。こいつらがええ言うとるんやから任したったらええねん。それに、いざとなったらウチもおるしな!」
チャコの説得を受け、ようやくルナは決心を固めた。
「じ、じゃあ……後はよろしくね?」
「任せてください!お土産話期待してますからね!」
そんな後輩達の言葉に苦笑いを浮かべ、ルナはスペースポートへと出発した。
*****
先程のやり取りが頭に蘇(よみがえ)り、ルナはクスッと思い出し笑いをした。
こうして考えると、自分は随分と職場に恵まれているな、と思えた。
ルナは送り出してくれた職場の仲間に心で感謝し、久しぶりに彼に会えるという高揚する気持ちを顔に浮かべながら、窓の外に広がる宇宙を眺めた。