novel

□ずっと傍に…
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重ね合わせた双方の唇は温かかった。

そう、以前は確かに温かかった。




「……冷てぇ…」




一体、どれだけの時間をこの場所で過ごしているのだろう。

寒さで指先が悴み、まるで全身が棒になったような感覚さえする。



あれは、本当に一瞬の出来事───…



車の急ブレーキの音が周りに響いた。

それと同時に、人の悲鳴と忍足の声。




「景吾ッ!!」

「っ!?」




忍足の叫び声と体が押されたのは同時…いや、押された方が先だったかもしれない。



ドンッ!



コンクリートの地面に跡部の体が叩きつけられるのと、耳に届く嫌な鈍い音はほぼ同時だった。

強い衝撃に眉を寄せながら体を起こし、軽く頭を振りながら目を開けた。




「痛っ…」




そして、瞳に映る光景に唖然とする。

先程見た時、歩行者信号は確かに青だった筈。

それにも関わらず、すぐ傍には1台の普通自動車が止まっていた。




「忍足……おい、忍足?どこだ」




不安と嫌な予感が全身を支配する。

 
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