novel
□その唇と声で
1ページ/7ページ
下半身に鈍い違和感を覚える。
途切れていた意識が徐々に引き戻され、重い瞼を億劫ながらに持ち上げた。
「んっ…、…」
「動いたらあかんで」
「……忍足?…って、お前何や…ッ痛!」
目を覚ました跡部が目にした光景は、羞恥を煽らんばかりの自分自身の格好と態勢だった。
生まれたばかりの姿で両足を広げられ、その間に身を置く忍足。
それだけならまだマシだろう。
朦朧としていた意識の中で感じた違和感は、忍足が跡部の後孔に指を入れていたことにより発生していた。
咄嗟に体を起き上がらそうとした瞬間、下半身に鈍痛が走り抜ける。
あまりの痛みに跡部の眉間に皺が刻まれた。
「っ、痛ぇ…」
「ちゃんと出さな苦しむんは自分やで」
「お前が……ッ…ナカで出し、たん…だろ…ぁ、くっ…」
一体誰のせいでこうなってしまったのか、その答えは1つしかない。
何度も絶頂に行き着いていたにも関わらず、忍足が跡部を解放しなかったせいだ。
苛立ちを抱くものの、鉛のように重たく動かない体が憎らしかった。
「ぅ、んン…」
ナカに挿れられた指はバラバラな動きを見せ、その度に声が漏れる。
無意識なだけに、その声は甘く艶を帯びていた。