novel

□この瞳に映るのは
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忍足は人を惹き付けるオーラがある。

胡散臭い眼鏡とは裏腹に、柔らかい態度や物言い。

穏やかな性格はまさに女のストライクゾーンだ。

そんな忍足だが、告白を受けた時の返事は決まって同じ台詞を言うらしい。




『おおきに。そやけど、今は誰とも付き合う気ぃないねん』




告白をした女生徒達から広がっていったこの言葉だ。

まず、そう言って断っているのは間違いない。

恐らく、告白してくる女の脚が気に入らないのだろう。

跡部は単純にそう思った。




「お前、どれだけ脚フェチなんだよ」

「は?」




部活を終えたある日。

跡部は机に向かって部誌を書きながら、シャワーを浴び終わった忍足へ言葉だけを放った。

さっぱりした様子で髪を拭っていた忍足だったが、向けられた内容に手が止まる。

しかし、跡部はシャーペンを動かす手は動いたまま。




「なんやねん、いきなり…」

「お決まりの断り方が校内に広がってるぜ」

「あー…あれな。そやけど、自分かて好きな奴以外とは付き合いたないやろ?」

「まぁな」




忍足は自分のロッカーを開き、話しながら着替えを始めていく。

部誌を書き終えた跡部の手が止まり、顔を上げて忍足の横顔を瞳に映した。

 
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