novel
□恋愛タイプ
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「忍足はアガペだな」
「ッ…ごほっ!ごぼ、ごほ、げぇほッ!」
部活の休憩中、不意に跡部が吐いた台詞がこれだ。
勿論、忍足に意味が通じる筈はない。
その結果、喉に流していたスポーツドリンクが器官に入り激しく噎せ込む。
「何やってんだよ、お前」
「ごほっ…じ、自分が変なこと言うからやろ。何やねん、そのアガペっちゅーのは」
噎せ過ぎて、目の隅に薄ら涙が浮かぶ。
それを指で拭いながら、傍らに座る跡部に質問を投げた。
「恋の種類だよ。お前の場合、自分のことより相手を優先する傾向が強い」
「そんなことない思うけど…ほな、自分は何なん?」
「前まではルダスだと思っていたが、今じゃマニアだろう」
「けったいな名前やなぁ」
耳にした言葉の詳細を知らない忍足は1人、理解をしようと頭を捻る。
が、初めて聞くだけに分かる筈もない。
飲み物を飲んでいた跡部はストローから口を離し、忍足が求める回答を簡易に説明していく。
「ルダスは相手に執着せず、恋愛をゲーム感覚に捉える傾向のある奴のことだ」
「ふーん、なんや跡部らしいわ」
「引っ掛かる言い方だが、まぁいい。マニアってのは……」
「うん、マニアは何?」