novel

□Rain ―雨―
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今日は朝から雨、雨、雨。

道路には大小の水溜まりが出来ていて、車が横切る時は油断が出来なかった。

室内で可能な練習メニューを終えた後、部室で黙々と部誌に文字を綴っていた時だ。

1人の影が手元に差し掛かった。

その影が誰のものかなど、わざわざ確認しなくても分かる。

何を言いたいのかも例外ではない。




「もう終わる」

「急がんでええからな」




問うよりも先に答えた跡部に双眸を細め、腕を伸ばし指通りのいい髪を梳き撫でた。

跡部は気安く触れられることを嫌う。

しかし、心を許した忍足は別だ。

早く帰宅しようと、残りの空欄部分にペンを走らせ、10分足らずで終わることが出来た。

外は未だに雨が降り、止む気配はない。

どんよりとした薄暗い空を見上げていた跡部の隣で、バサッと傘を開ける音が鳴る。

その傘は勿論、跡部に向けて傾けられた。




「ほな帰ろか。送ったるから」

「ああ」




所謂、相合い傘というものだ。

最初こそ抵抗があったものの、今ではこうして帰ることが普通になっている。

 
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