novel

□はじまり
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教師かと冷静に考えていれば、扉の先には会いたくなかった人物の姿が視界に映る。




「跡部?」

「………」




聞き慣れた甘ったるさを強める低い声。

何も言わず目を反らした跡部に歩み寄り、真正面に片膝をついて顔色を窺い見る。




「どないしたん?めっちゃ顔色悪いで」

(誰のせいだと思ってんだよ…)

「ちゃんと寝てないんちゃう?飯も食うてないんやろ?」




避け続けていた日などなかったように、以前と変わらぬ口調で話し掛ける忍足。

それが尚更、跡部の不機嫌を煽る要因だともしらず。

こんな時だけ話し掛ける意味が分からない。




「……せぇ」

「なん?」

「五月蝿ぇんだよ」

「心配しとるだけやん」




相手が忍足でなければ、確実に不機嫌となって立ち去っているに違いない。

だが、次の言葉で忍足も声を荒げた。




「誰もンなこと頼んでねぇだろうが」

「言わんから余計に心配なんやろ!」




今まで聞いたことのない忍足の怒声。

流石に驚いた跡部は、反らしていた視線を目の前にいる忍足に向けた。


 
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