novel

□はじまり
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忍足の表情には怒りだけでなく、瞳からは悲しみが滲み出ている。




「…好きって言うたんが原因やったら謝る」




違う───‥




「お前にはもう近付かへん。それでええやろ?」




違う…




「飴ちゃん置いとくから食べてや。ほなな」




跡部の傍らに袋に包まれた飴が置かれた。

付いていた膝を持ち上げた忍足は踵を返し、振り返ることなく足を進めて去っていく。




「て、めぇ……いい加減にしやがれ!!」




地面に置かれた飴を掴んで、落としていた腰を持ち上げた跡部は、遠ざかる背中目掛け渾身の力を込めて飴を投げつけた。

コントロールは上々で、飴は見事背中にクリーンヒット。




「いッ!…ったぁ〜。何すんねん、めっちゃ痛いやんか!」




あまりの痛さに背中を反る忍足に向かい、次は跡部が怒声を放った。




「一体誰のせいだと思ってんだ!」

「は?意味分からん…。そやから、」

「俺が好きなんだろ。だったら逃げんじゃねぇ!」

「跡部…?」

「傍にいろ!これは命令だ!」


 
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