novel

□この瞳に映るのは
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「っ…ンだよ」




眉を釣り上げ、強気な態度を見せる。

しかし、そんなものが忍足に通用する筈はない。

無言のままスッと腕を伸ばし、跡部の体を挟むよう壁に両手を付いて逃げ場を奪う。

流石の跡部もこれには驚きを見せた。




「ちょっ…、退けよ」

「気になるかって聞いとるんやけど」

「気にならねーから退け!」




紡がれた答えは跡部らしさが滲み出ていて、再度忍足の口元が緩んだ。

そして、肘を曲げて跡部に密着していく。




「っ…!」




反射的に双眸をキツく閉じた跡部。

しかし、動いていた空気が途中で止まったことに気付いた。

瞼をゆっくり押し上げ、視線を上げたその先には忍足のアップの顔が双眸に飛び込む。

初めて間近で見る忍足の顔は、女生徒が騒ぐ理由が分かる程に整っている。

跡部は動くことも言葉を紡ぐことも忘れて固まったまま。

その代わりに息を飲んだ。




「………」

「好きな奴おるから、そいつ以外には興味ない」

「…あ?」




不意に紡がれた言葉の意味が分からない。

何を言っているのかと聞き返そうとした時、先程までの会話を思い出した。

 
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