novel

□恋愛タイプ
2ページ/6ページ



純粋に知ろうとする忍足の顔を見るなり、説明しかけた言葉が喉に引っ掛かった。




「…自分で調べやがれ」

「はぁ?別に隠すことないやん」




これには流石の忍足も拍子抜けせざるを得ず、不満を露わにする。

しかし、いくら頼んでも跡部が口を開く事はなかった。




「チッ、五月蝿ぇんだよ」

「あ、おい跡部、ちょお待ちって……って、行ってしもたし」




言い出したのは跡部自身にも関わらず、座っていたベンチから腰を上げ、そのまま1人コートの外へと出て行ってしまった。

回答を得られない忍足といえば、解消されないモヤモヤを抱え込むばかり。

そんな忍足の姿を見てか否か、利口なレギュラーがタイミングよく声をかける。




「忍足さん、跡部さんは何を言ってたんですか?」




後輩とは思えない鳳の頭の良さは、同学年の宍戸にも見習って欲しい位だ。

これを宍戸本人に言えば拗ねること間違いなしの為、あからさまに言ったのはほんの数回だけ。




「いきなり恋のタイプとかゆうて、俺はアガペやなって」

「へぇ。現実には存在しないタイプって言われてますけど、確かに忍足さんはアガペ寄りですね」

 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ