novel

□恋愛タイプ
5ページ/6ページ




「鳳にはもう言っちまったから仕方ねぇが、これ以上他の奴には話すな」

「俺の頼み1つ聞いてくれたら」

「テメェ…」




不快感を露わにする跡部は予想の範疇。

だからこそ、忍足は前言撤回をしない。

暫く睨み付け続けるものの、考えを変えるつもりがないと悟れば、跡部は不満気なまま口を開いた。




「っくそ…、だが内容による。言え」

「跡部からキスするんて珍しいやん?せやから、もう1回して欲しいわ」




周囲が聞けば他愛ないことだろう。

しかし、忍足からして見れば重要だ。

普段から身体を引き寄せ、キスをしようと行動するのは忍足自身。

さっきも跡部に話したように、迫られるのは稀だった。

この機会を逃せば、次はいつ跡部からしてくれるのかは分からない。




「ええやろ?」

「…本当に変な奴だな、お前は」




紡がれる内容とは裏腹に、目の前の跡部の口許には緩く弧が浮かんでいた。

開いた距離を縮めようと、再び忍足の首へ両腕を伸ばす。

微か触れ合う程に近くなった互いの顔。




「まだだ、まだ足りねぇ。もっと俺に堕ちろ、忍足」




そう言うなり、ゆっくりと重なり合う唇。

先程とは違った甘いキスを感じれば、忍足の両腕も自然と跡部の腰に回る。



それから暫く、2人はキスに酔いしれた―──…





>>終わり(追記→)

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ