novel

□You're mine.
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ぼんやりとした瞳に映る風景。

顔を横に向けながら、室内の造りや物を眺めていく。

徐々にしっかりし始めた頭で、漸く今寝ている場所がどこなのかが理解出来た。




「ここ…っ、イッ…!」




あまりの驚きに上体を勢い良く起こした瞬間、ズキッと強烈な痛みが跡部を襲う。

痛みの中心部である後頭部に触れると、ほんの僅かだが腫れているのが分かる。




「…ってぇ、」




あまりの痛みに眉根を寄せ、走った痛みが和らぐのを前のめりになったまま待っていた時。

後頭部へ添えていた手の甲に温もりが感じられた。

それが誰の体温かは、わざわざ確認しなくても分かる。

数日触れ合っていないだけだったにも関わらず、確かに感じるものが心まで温めていく。




「まだ起きたらあかん。寝とき」




落ち着かせるような優しい声。

まるで喧嘩などしていなかったみたいに、忍足は普段と変わらず跡部に触れる。

痛みでキツく閉じた瞼から力を抜き、すぐ傍にいる忍足へ視線を上げていった。

そこで跡部の双眸が映し出した忍足の瞳には、心配する色がありありと滲み出ていた。

 
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