novel

□You're mine.
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「忍足…」

「テニスボールが自分の頭にヒットしてん。あと、貧血やって保健医が言うとったわ」




道理で腫れている訳だ。

硬式のボールが勢い良く当たれば、痛みが残っていない方が逆におかしい。

それよりも、理解が出来てないことが残っている。




「何でお前の家に…」

「普段乗って帰っとる車あるやろ?あの運転手に言うて、俺んとこで降ろすよう頼んだんや」

「………な、んで…だよ」

「跡部?」




説明はされたものの納得がいかない。

告白されていた時、忍足は確かに好きな人などいないと断言していた。

特別な感情を抱いていないなら、面倒を見続ける必要はどこにもない筈だ。




「わざわざ介抱すんじゃねぇ」

「何でそないなこと言うん?」

「好きじゃねーんだろ、俺のこと。だったら、使用人に任せれば良かっただろ」

「は?……あ、今日のあれ…まさか聞いとったん?」




知人が倒れて心配する気持ちは分かる。

だが、まるで付き合ってる時のように優しく介抱されるのは辛いだけだ。

嬉しくも何ともない。

無意識の内に感情が高ぶり、じわりと目頭が熱くなって視界が歪む。

 
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