novel

□青空の下で
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「えらい視線の的やなぁ〜」

「だから嫌だって言っただろうが」




呑気に感想を述べる忍足。

眉間に深い皺を作り、少なからずドスの利いた声で呟く跡部。

注目を浴びることには何の不満もない。

しかし、プライベートの時にまで首を突っ込まれるのは不愉快だ。

恋人といる貴重な時間ともなれば、その迷惑は跡部に怒りさえ生じさせる。

だが、同性愛をオープンにしていない以上、むやみやたらと追い払うことも怒鳴ることも出来ない。

苛つきを見せる跡部を余所に、忍足は至って穏やかな表情のまま。

本来なら生徒会室でランチタイムにも関わらず、芝生のある中庭で食べようと連れ出したのは忍足だった。

理由は簡単。

天気が良いから、ただそれだけ。




「せやけど、気持ちええやん」

「外野が邪魔だ」




春の訪れを感じさせる風、太陽の光。

新しい息吹が広がる光景、匂い。

確かに気持ちはいい…けれど、やはり周りにいる女生徒の視線が煩わしい。

それさえなければ文句はないものを。

ぶつぶつと文句を言いながらも、跡部はその場で弁当を頬張る。

 
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