深い眠りから徐々に目が覚め、まだ重い瞼を跡部は微かに持ち上げた。
カーテンの隙間から覗く空を見れば、まだ朝陽が顔を出す前の色合い。
「…んっ」
頭の下には少し固めの腕枕。
身体に回されたもう片方の腕。
互いに裸体のままだった為、直に感じる体温は心地良い。
ゆっくりと顔を上げれば、間近には昨夜何度も求め求められた忍足の寝顔が映る。
目が覚めた時、忍足は必ず傍にいてくれた。
規則正しく耳に届く寝息に安堵する。
(侑士…)
心の中で繰り返し忍足の名前を呼ぶ。
「……起きたん?」
「え…」
声に出して呼んでいないにも関わらず、まるで呼び掛けに応えるよう不意に紡がれた声。
それには流石に驚きを隠せなかった。
抱き寄せる忍足の腕に誘われるまま、跡部自らも胸元へ擦り寄る。
足と足を絡め合わせ、出来る限り隙間を埋めていく。
「今朝はえらい甘えたさんやな」
改めて言葉にされると恥ずかしさを覚えてしまう。