novel

□この身は君しか愛せない
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深い眠りから徐々に目が覚め、まだ重い瞼を跡部は微かに持ち上げた。

カーテンの隙間から覗く空を見れば、まだ朝陽が顔を出す前の色合い。




「…んっ」




頭の下には少し固めの腕枕。

身体に回されたもう片方の腕。

互いに裸体のままだった為、直に感じる体温は心地良い。

ゆっくりと顔を上げれば、間近には昨夜何度も求め求められた忍足の寝顔が映る。

目が覚めた時、忍足は必ず傍にいてくれた。

規則正しく耳に届く寝息に安堵する。




(侑士…)




心の中で繰り返し忍足の名前を呼ぶ。




「……起きたん?」

「え…」




声に出して呼んでいないにも関わらず、まるで呼び掛けに応えるよう不意に紡がれた声。

それには流石に驚きを隠せなかった。

抱き寄せる忍足の腕に誘われるまま、跡部自らも胸元へ擦り寄る。

足と足を絡め合わせ、出来る限り隙間を埋めていく。




「今朝はえらい甘えたさんやな」




改めて言葉にされると恥ずかしさを覚えてしまう。

 
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