novel
□You're mine.
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告白されることも、その現場に出くわすことも、大して珍しくはない。
誰が誰に告白をされていようが関係なかった。
しかし、自分の恋人ともなれば話は別だ。
「お、お、お、おおお忍足先輩…!」
「そない詰まらんでもええやん。オモロい子やなぁ〜」
「あの、ちょっとお時間…いただけませんか?」
何度となく聞いた似た呼び出しなだけあって、この後の展開は考えなくとも分かる。
だからと言って、断ることはしない。
ええよ、と簡単に返事をすればテニスコートから出て、声を掛けた女生徒と消えて行く。
その様子を眉間に皺を深く作って眺める人物、跡部の姿があった。
普段なら冷静でいられるものも、今は心穏やかではいられない。
理由は簡単。
先週の放課後の練習が終わった後、珍しく跡部と忍足の間に喧嘩が勃発した。
『少しは頼れ言うとるだけやん』
『これは俺の仕事だ。他人に任せちまえば分からなくなるだろうが』
『心配する方の身にも…』
『誰がいつ心配しろっつった!いい加減にしろ!邪魔だ!出て行け!』
しまった、と思っても後の祭り。
忍足の顔を見ると、相変わらずのポーカーフェイスのままで感情が読めない。