たんぺん。

□雨花ーMY SWEET DARLIN'ー
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ウェラー卿は僅かに開いたカーテンの隙間から、なんとはなしに空を見上げた。
「雨花だな」
「雨花?」
耳慣れない言葉に、彼の主は漆黒の瞳を丸くしている。
その愛らしい様子に、彼はくすりと微笑を漏らす。
「六花ともいいます。…要するに雪のことですよ。先人は春を待ちわびて、雪の中に花の面影を見出だしていたんでしょうね」
「そういえば雪の結晶って、なんとなく花に似てるもんな」
分かっているのかいないのか、彼の主は一人うなずいている。
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